パウンダリーという概念【2】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

パウンダリー(境界線)について【2】では、例を友人、パートナー、親子、上司と部下と挙げながら境界線を守られていない時の要注意サインや、境界線を守る方法について話を進めます。前回示した図2を参照しながら読んでみてください。

  • 大切にしている本(持ち物)を本当は貸したくないのに友人に貸してしまった。

これは嫌われたくないという気持ちから相手に合わせ過ぎています。自分の気持ちや考えを伝えられず、我慢していることもわかります。それにより、【所持品】、【感情】の境界線が守られていません。

  • LINEやSNSで気付かずレスを忘れた時や飛ばしてしまった時に「無視したでしょ!」と言われた。

それからスマホが気になるようになって着信音を大きくしたり、しょっちゅう確認するようになった。これは【時間/空間】、【感情】の境界線が守られなくなり、自分の生活に影響が出てしまっています。また、すぐにレスが来なかったことに「無視したでしょ!」と責めるメッセージを送った人は、受け取った人の【時間/空間】、【感情】の境界線に踏み込み過ぎています。

  • 「あの子はお母さん好きじゃないから付き合っちゃダメ」

親の考えや価値観を押し付けていることから、【考えや価値観】の境界線を守っていません。「こんな本は読んじゃダメ、捨てたから!」これも断りもなく持ち物を捨ててしまうのは明らかに【所持品】の境界線を踏み越えています。

  • 「日曜は用事があるから会えない」と言ったら、彼から「普通は彼氏を優先させるものだろう」と言われた。

「夫婦なんだからどこで何をしているのか知る権利がある」と勝手にスマホを見られたり、持ち物を調べられる。好きだから嫌われたくない、好きだから怒らせたくない。そのような気持ちになるのは理解はできますが、前者では【時間/空間】、【考えや価値観】の境界線を無視した考え方です。後者は【所持品】、【感情】の境界線を踏み越えた行動・言動です。

  • 「お前は何もできないバカだ」「居なくても誰も困らない」「忙しいんだから残業するのは当たり前だろ」「こんなことで怒るなんておかしい」「(産休)育休取るの?」

これらは【尊厳】、【時間/空間】、【感情】、【考えや価値観】・・・あらゆる境界線をバンバン踏み越えてしまってますね。組織においては、上司などが言葉に言わないまでも企業風土や企業文化そのものが境界線を踏み越えた空気感に満たされている場合もあり得ます。

以下のように感じることがあったら境界線を守られていない要注意サインかもしれません。

  • バカにされる。
  • いつも相手の感覚や意見が優先。
  • 理不尽な命令、パワハラ・モラハラに近い命令をされる。
  • 言動や行動で脅かされる。
  • 相手と違う考えや意見があっても言いづらい。
  • 無視されたり、傷付くようなことを平気で言われる。

境界線を守る工夫として覚えておいてもらいたいことがあります。

踏み込んでほしくないことには自分でルールを決めておく。
▷○時までに帰る、○円以上は使わない、プライベートは仕事関係者には話さない、など。

●同じ言葉をリピートする。
▷何を言っても相手が自分の境界線に踏み込んで来ようとしたり、何を言われても理由を聞かれても「嫌です」「止めてください」「無理です」「できません/やりません」。

●宣言する。
▷それでも境界線に入り込んで来ようとしたら「次同じことを言ったら帰ります」「まだ言うなら警察に行きます」「大きな声を出します」をはっきり意思表示する。

●その場を離れる。
▷帰る宣言をして帰る。知らん顔してその場を去る。

●時間を置く。
▷自分の気持ちが落ち着く、考えがまとまるまで「少し時間をください」と保留し、時間を作る。

●メッセージを『I』(アイメッセージ)で発信する。
▷主語を「私は〜と感じる」「(私は)そんな言い方をされると悲しい」「(私は)〜だと嬉しい」など。

企業など組織においては、【自分でルールを決めておく】【時間を置く】【アイメッセージで発信する】などが現実的かもしれませんね。

自分の大切なスペース(エリア)に他者が踏み込んできたり、相手の大切なスペース(エリア)に入り込んでしまっている場合は、境界線を意識することが大切です。

境界線は自分自身が傷付かないことはもちろん、相手を傷付けてしまわないためにも守らなくては(守ってもらう必要がある)いけない重要な概念です。

境界線が守られているかどうかは前記の『自分の気持ち/感情』と『相手との関係』に目を向けてみることです。

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歪んだ関係:支配という名の共依存【2】〜パウンダリーという概念【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

【1】に続き、共依存の話になります。

共依存と自己愛、アダルトチルドレン(アタッチメント不全)には深い関係がありますが、自己愛やアタッチメントについては近いうちに書きたいと思います。

共依存に陥りやすい人の特徴の続きです。

●コミュニケーションスキルが低い
→自分の意思を相手に伝えるスキルが低い、ノーと言えない、自分の行動・言動の責任を引き受けることができないのに、相手のせいにしたり(責任転嫁)批判する。

●被害者意識が強い
→相手のために何かしてあげたい気持ちは強いが、うまくいかない時に「私はあなたのためを思って云々・・・」と相手を責めがち。

●自分と他者のパウンダリー(境界線)が明確でない
→最後に境界線について説明〜パウンダリーという概念【1】に続きます。

●忍耐力に欠ける
→相手の言葉に過敏に反応して反射的に行動したり、必要以上に焦って取り越し苦労的な心配をする。

●自罰的である
→相手に問題がある時にも自分が悪いのではないか?と過剰に自分を責め、努力すれば相手が変わるのではないかと必死になる。

●極端な思考
→黒/白、0/100思考で自分が正しければ絶対に相手が間違っている、相手が正しければ全部悪いのは自分のせいだと決めつけがちで、“ほどほど”のバランスが取れない。

これから先は共依存の話を離れ、パウンダリー(境界線)【1】へと続きます。

これは人間関係において疲れやすかったり、ストレスフルになりやすいHSPやASDの人に気付いてもらいたい概念です。

図を見ながら考えてみます。

これはパーソナルスペースという概念です。

そして境界線には、

このように個人を取り巻くパウンダリー(境界線)には幾つも種類があるのがわかります。

また境界線にはパターンがあります。

●境界線がない
→自分の気持ちや感情など自分で守れず、他者から踏み込まれ過ぎて疲れたり傷ついたりしてしまう。また、他者の境界線もわからないので、踏み込み過ぎて嫌がられたり傷つけてしまう。

●境界線がハードルになっている
→他者を近づけず、自ら他者に近づくこともしないので、本人が孤独を感じていても周囲から孤立しやすい。自分の中だけで怒りや傷つきを抱え込み、感情のやり場がなく発散することができない。

●柔軟性のある理想的な境界線
→自分の気持ちや感情、その時の状況や相手により自由に境界線も変えられる。しなやかな強さがあるので、疲れたり傷ついても回復力(レジリエンス)があり、自分も他者も大切にしたアサーティブなコミュニケーションを取ることができる。

●混在した境界線
→ほとんどの人は上記3つの境界線を組み合わせて持っており、自分の気持ちや感情、状況、他者との関係で無意識に境界線を使い分けている。

パウンダリーという概念【2】では、例を挙げながら境界線の種類の説明、なぜ境界線が大切なのか、境界線を守られていない時の要注意サイン/境界線を守る方法についてお話します。

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歪んだ関係:支配という名の共依存【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

共依存の根底にあるのは愛情ではありません。

いきなりですが、これはとても錯覚しやすいのですが、そこにあるのは“支配”であり、互いに互いを病的に縛りつけ合う、愛情とは似ても似つかない歪んだ関係です。

今回から2回連続で【共依存】についてお話していこうと思います。

自分で共依存と気付くのは難しいものですが、話を聞かされる周りにいる人間には、その異様さから違和感を感じることもあるようです。

共依存とは一見すると親身になっているように映るので、薬物やアルコール、ギャンブル依存のように誰が見ても問題だと思われない危険な側面を持ちます。

共依存に陥る人には特徴があります。

【共依存に陥りやすい人の特徴】

●自分を犠牲にして(時間・お金・体力・精神力)相手の世話をしたり助けようとする。
無意識のうちに相手にとって自分が必要な人間であると思ってもらいたかったり、感謝されるなどの見返り(報酬)を期待している。自分がいなければ相手はダメになる、やってはいけない、と側にいることで自分の価値を見出そうとする。

●相手の考え方や行動を変えようとコントロールする。
なだめたり怒ったり無責任なアドバイスをしたりすることで、相手を操作したり変えようとする。

●常に問題を抱えている人の側にいたり、そのような人間関係に身を置きやすい。
何かと問題を抱えている人の側にいたがり、何も問題を抱える人が周りにいないと空しく感じたり、無意識に「誰かを助けたい」という焦燥感に襲われる。

●相手の気持ちや感情に過敏に反応し、先走りして気を遣う。
相手の顔色ばかり伺い、相手の気持ちを読み取り(読み取り間違えも多々)、どうすれば、どう言えばいいのか先回りして不安になったり心配する。

●見捨てられ不安が強く、他者への依存心も強く自分に自信がない。
一人でいると不安で誰か相手が必要になり、相手がいても自分に自信がないので見捨てられるのではないか、と常に不安を持っている。

●視野が狭く考え方に偏りがある。
特定の相手が気になるとそのことで頭がいっぱいになり、他のことが考えられなくなる、「〜べき」思考が強い。

個人間でのことをイメージして列挙しましたが、企業と個人における上司と部下、同僚同士、先輩と後輩の間でも言える部分があります。自分と会社の関係が歪んだ関係ではないか、点検する参考にしてみてもいいかもしれません。

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毎日何かに困っている、困らない日はない

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

よく言えば『おっちょこちょい』『天然』『好奇心旺盛』でムードメーカー。悪く言えば『時間や約束を守れなくてルーズ』『片付けられなくてだらしない』『面倒くさがりで怠惰』と周りから困り感がわかりやすいADHD。

よく言えば『ミステリアスでマイペース』『自分に正直』。悪く言えば『空気を読めない』『共感がなく直球過ぎる物言いが人を傷付けたり不愉快にさせる』『字面どおり受け取り冗談が通じなくて面倒くさい』『マイルールがあり、理解不能なこだわりがある』というASDでは、同じ発達障害でもひと言では括れません。

本人はもちろんですが、周りの戸惑いや困り感の“種類”がまったく違うので、

何より大切なのは確定診断ではなく、【自分の脳のクセを知る】ことです。

本人が脳のクセを知り理解することは、どのような困り感がどんな場面で表れるのかがわかり、工夫対処しやすくなると同時に周りの人たちに協力や配慮をお願いしやすくなります。

発達障害は“ASD”だけ、“ADHD”だけ、のような単体は実は極めて少なく、LDや協調運動障害を持ち合わせていたり、ADHDにASDが加わって重複しているケースがほとんどです。

そして忘れてならないのが、強く表れている特性もあれば“風味”程度にしか表れない特性もあるということです(だからといって“特性がない”わけではありません)。同じ診断名でもグレーでも人の数だけ多様な表れ方をするのが発達障害です。

本コラムでも何度かお話しているように、表面だけを見て“片付けなくて散らかっている”でも、ADHDからくる特性かASDからくる特性かでは、その理由も対策も変わってきます。

要領が悪く並外れて不器用、究極に面倒くさがりで生きていくのが大変そうな息子を見ていると、興味関心がある物事以外はどれほど自分にとって重要であっても、取り掛かるハードル自体がとても高いように見えます。

その一端を紹介すると、使った食器を洗うために茶碗、お椀、グラス、最後に皿と箸と食べ終わる度にキッチンを忙しなく何度も行き来して運びます。いつも大きなトレイに載せて食べているので(いろんなものをひっくり返すので被害を最小限に止める目的と対策)、食べ終わったらすべての食器をトレイごと下げれば合理的で一度で済むのですが・・・。

行動すべてが雑で不注意が服を着て歩いているような息子は、動く度に躓く、何かを引っ掛けて落とす、ひっくり返すことが日常です。気の進まない、やりたくないこと、やっている何かを途中で中断しなくてはいけないこと、楽しくないことは本人にメリットデメリット関係なく、漏れなく『面倒くさい』に分類されます。それでもその面倒をやるうちに、今度はそれまでやっていた作業や、やらなくてはいけない作業を忘れてしまいます(読みかけの本をしまう、畳んだ洗濯物を片付けるなど)。

日々やることをルーチン化しよとしても、それが本人にとってどうでもいいことだったり面倒さを伴い、気が進まないことだと定着しません。その典型的な例が薬の服用です。もう小学生からずっと服用しているので、習慣になっていてもおかしくないのですが、未だに定着していません。なので、服薬管理は今でも100%私がしています。服薬させるためにいろいろと試行錯誤した結果、今は朝の小皿と夕方の小皿を用意し、服用する薬を1日分ずつ出しておくこと、でした。にもかかわらず、毎回数度の声かけと「間違わずに飲んでね」は必須です。

1日にしている数え切れない声かけを減らし、自分で気付いてできることを増やしていかなくてはいつまでも他者頼みのままです。しかし、服薬管理だけは飲み忘れから副作用が出やすく体調悪化に繋がるのと「できないんだからお母さんがやってあげるしかないでしょ?」という主治医の言葉で“仕方なく渋々”やっている状態です・・・。

大人になるまでに、どれくらいできることが増えるでしょうか・・・。

言わなくては定着しない、繋がらない。言い続けても定着するかどうかわからない。

要するに“当たるかもしれない宝くじ”みたいなものですね。常に脳の活性化ができてボケなくて済みそうです(笑)

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中学生ADHD息子我が家対策

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

中学生の息子はADHDであることは度々書いてきました。今回は我が家ではどう対策しているのかを書こうと思います。気付けば随時アップしていきたいと思います。

《できないこと》

●ゴミをゴミ箱に入れらない
→ 対策とにかくゴミ箱を大きく。
『いつもアナタのお側に計画』で、ダンボールにビニール袋をかけ、行儀悪いけれど、どこから投げても入るように工夫。何を食べる時も専用トレイを使用。(ゴミはトレイに、トレイを片付ける時に側にゴミ箱)

●ないない、いつも何かを探し中
 対策:とにかくボックスとキーファインダー導入。
帰宅したら、とにかくボックスに何でも放り込む。そこを探れば必要なものは大概出てくるはず。スマホ、自宅鍵、自転車鍵、定期入れ、メガネケース、財布にはキーファインダー(受信機)を貼り付けor装着。リモコンを押せばどこかで鳴る(光ってバイブ機能も有り)。リモコンは失くさないためにドアノブに吊るしておく。

●時間管理ができない
→ 対策:減っていく時間を視覚化。
減っていく時間を視覚的に確認できる“ドリテックアナログキッチンタイマー”や“タイムタイマー”を冷蔵庫に貼り付けも含め、いくつも配備。デジタルですが、普通のキッチンタイマー以外にスケジュールに応じて時間や日をカウントアップ・ダウンが設定できる多機能タイマーを活用。今は学校の中間や期末の試験日や受験日をメモリーし、カウントダウン(残り◯日)を設定して使用中。

●使ったタオル・バスタオルを広げて干せない
→ 対策:手間の少ないピンチハンガーを活用。
両端にピンチがあるピンチハンガーに止めるだけ。

●洗濯物をたためない
→ 対策:ハンガーやフックを活用。
掛けられるものはすべて掛けてパイプハンガーに。肌着類はたたまずそのまま大きなカゴにぶちこみ、S字フックで吊り下げ。

●しまった(見えなくなった)途端、失くなる
→ 対策見える化収納が基本。
一度しまったり、何かの下になって見えなくなった途端、対象物は“失くなった”ことになることが多々。例えば、文房具。ハサミ、のり、テープ、コンパス、定規、ペン類などは、分類してもぐちゃぐちゃになるので、透明ボックスにこれまたぶち込んでおく。そこを探せば見つかる状態に。

●服薬管理
→ 対策:見やすい場所に出しておく。
我が家ではお茶を飲む冷蔵庫前の棚に1日分づつ朝・夕と小皿に出しておく(「クスリ飲んで!」の声がけが必須ですが)

中学生なのでこんなものですが、社会人ともなればさまざまな手続き書類や請求書、大事な仕事の資料に通勤服、通勤バッグの中の管理、ゴミの分別や収集日のゴミ出し、選別洗濯や日用品の管理などが加わり、将来を考えただけでも卒倒しそうになります。

卒倒してても何も変わらないので、日常的に今できることを増やしていきつつ、何をどう工夫しているのか、彼のライフハック帳に記録し続け、いずれ【母からの思いやりノート】として押し付けてやろうと思っています(笑)。

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