メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。
前回の続きで、ワーキングメモリーの説明からスタートします。
●ワーキングメモリー(WM) 聴覚情報を一時的に保持したり、その情報を元に考えたりアウトプットする能力 実行機能の凸凹を表している指標でもあるため、ADHDやLDでは特徴が表れやすくなります。この指標が低いと、話の途中で何を話していたのかわからなくなったり、本を読んでいても内容がわかならくなるなどが起こります。ワーキングメモリーに課題があると生きづらさを感じやすい場面が増えることが予想されます。
息子の苦手さはこのWMとPSI(処理速度:この後に説明します)に顕著に表れているのですが、WMの弱さがあるとどのようなことが起きるのか?
学校や職場で与えられる指示は一度に一つずつとは限りません。WMが弱いと記憶の一時保持に苦手が出るので「次の時間は理科です、画版を片付け一旦教室に戻って教科書、ノートを持ち、理科室に集合してください」などいくつもの指示が含まれるものは、入ったそばから抜け落ちます。残るのは「理科室に集合してください」になるわけです。学校の場合、周りの生徒の動きを見ながら行動できるので、ワンテンポ遅れることはあっても何となくできてしまい、本人も周りも気付かない、できているように見えることもあります。学校生活で一斉指示が入りにくいのはWMの低さからくる場合もあるのです。息子も小学生のうちは一斉指示+息子個人に対し、一つずつ個別指示してもらっていました。
しかし、社会人になるとそうもいかないので、いきなり“できない人”、“話を聞いてない人”になってしまいます。発達障害特性がある人はWMが低い人が多いので、「指示は一つずつ」が鉄則です。
●処理速度(PSI) 単純作業を正確に早くおこなう能力 計算、見て覚えたことを素早く書き出す、示された図を数ある中から早く正確に探し出す、などになります。 いわゆる作業能力で、情報処理のスピードと言うとわかりやすいでしょうか。PSIが低いと、集中が続かず作業効率が悪く、一度覚えた作業(学習)でも遅くなります。スピードを求めるとかえってミスが増えるという悪循環に陥ります。 この指標に弱さがある子供にスピードで競わせるドリルや100マス計算はキツイです。社会人では急いで資料をまとめるなどにミスが増えやすくなるので「ゆっくりでもいいから丁寧に」になると思います。
自分の得手不得手がわかると苦手なことに対策を立てやすくなります。「みんなと同じことができないなんて自分は劣っている・・・」などと自己肯定感がダダ下がる前に、一度WAISやWISCを取り、自分の特性を客観的に知るとよいかもしれません。
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