大阪小6女児誘拐事件から考えること

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

大阪でSNSが発端で未成年が巻き込まれた事件がまた起こってしまいました。すべてが表に出ていなくても、SNSが発端の事件やトラブルは案外起こっています。

今回はインターネット(SNS)を介することで無意識に生まれてしまう独特の心理をお話したいと思います。

我が家にも中二病真っ最中の思春期男子がいますが、ゲーム障害の懸念と私の教育方針からインターネット機能がないキッズ携帯しか持たせていません。

フィルタリングを掛けたタブレットは、基本私の目の届くところで最長30分使用・・・という、スマホを与えている家庭にはない厳しいルールを設けています。

ゲーム障害については、以前このコラムで書きましたので、そちらを参照してください。

幼少期から「知らない人には付いて行ってはいけません」と口を酸っぱく言われながら育つ子供たちが、何故こうも簡単に事件に巻き込まれるのでしょうか?

ここには成長過程で当たり前に訪れる、いずれ精神的に自立していく(親離れ準備)ために“必要な”反抗期とSNSやそれらを通して共通項を発見(オンラインゲームやアニメなど多数)した時に感じる親近感などにより、反発する親以外の自分より圧倒的な知識を持つ大人に対する尊敬や憧れ危機感を持たせにくくしてしまう

思い込みマジック

が関係しています。

私はゲームといえば将棋と囲碁くらいしかやらないのでよくわからないのですが、オンラインゲームは顔も名前も当然素性もわからない人物とインターネットで繋がり、チームを組んで同じ目的のためにプレイするようです。

最初は同じ目的がスタート、そこで力を合わせ味方としてゲームのクリアを目指すうちに、強い仲間意識が生まれるまでは理解できますよね。そこからチャットやダイレクトメッセージのやり取りが絡むと、その中で相手に対し無意識に自分の良いイメージ、悪いイメージが

第ゼロ印象

として刻まれます。ただ、第ゼロ印象がすこぶる悪ければ「チームとして力は合わせるけど・・・」で、わざわざ1対1で会おうとはしないでしょう。

同じ目的➡︎仲間意識➡︎ダイレクトメッセージでのプラス印象。でも、これはオンラインゲームを通して“だけ”見える、他者のたった一部なのですよね。実際顔を合わせても他者の本質など時間をかけなければわからないのに、何故、文字列や声を聞くだけで“いい人”だろうと錯覚してしまうのでしょうか。

そこには社会経験もなくリスクマネジメントができない未成年であることを忘れ、『自分は大丈夫』という根拠のない自信だったり、自立していくために必要な親離れ反抗期からくる『親は何もわかってくれない』『親うぜぇ』『自分はもう子供じゃない(自他に責任を負えないから未成年なのですが)』『自由になりたい、もう家出したい』などの心理が働きます。中高生時代、一度は思ったことがある人も多いのではないでしょうか。

思春期は学校では友人関係や上下関係で悩み、家では親との関係で悩み、漠然と将来に不安を覚え・・・ですから、精神的にとても不安定になりやすい時期でもあるので、親ではない自分の中でフラット、プラス印象を持つ大人から(演技でも)共感され「話を聞くよ」「力になるよ」「ウチに来ない?」などと言われると、未熟な子供たちは『いい人』に映りますよね、やはり。

もちろん、大人でも“その人物の本質”を見抜けず、コロッと騙されたり、事件に巻き込まれることは多々あるのですが、経験・知識不足、対応力不足の未熟な未成年とでは比になりません。

何かが起こってからでは遅いので、何もかも学校任せ、学校頼みにするのではなく、家庭でも

危機意識を持ち、それを家族で共有

し、子供に先の見通しを立てさせながら一緒に“身近にある危険”について話ができるようでありたいものです。

余談ですが、最近は家庭対応の範疇だろうと思われることまで学校に持ち込む保護者が多いことに驚きます。実際にあった話では、

「ウチの子は何度起こしても起きないから、先生がモーニングコールしてください」

あり得ないです(笑)

依存症:ゲーム障害

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

今回はさまざまな依存症について、あまり深くは踏み込まずサラッと書いていきます。依存症を引き起こす要因がさまざまであり、そこまで言及するとページがいくらあっても足りなくなってしまうからですが・・・。

さてW H O(世界保健機構)は2018年に“ゲーム障害”を国際疾病分類として正式採択し、2022年に発効されます。これがどういうことかというと、ギャンブル依存症やアルコール依存症、薬物依存症と同じ【精神疾患】に分類される、ということです。

往々にしてどんな依存症当事者も揃いも揃って「自分は◯◯依存症なんかじゃない!」と問題意識が低く認めないもので、困り果てた家族や周りの人が相談に見えたり、引っ張って連れて来られることになります。

アルコール依存症の家族の方はよく「お酒さえ飲まなければいい人」という言い方をされますが、言い方を換えれば「(問題を起こし他者に迷惑をかけるのに)お酒を止めないから困った人」と言えませんか?ここで間違ってほしくないのは【お酒そのものが悪い】わけではない、という点です。同じく【ゲーム】や【インターネット】【ギャンブル】そのものの存在が悪いのではなく、利用する側の【利用の仕方】に問題があるのです。

薬物は法律で厳しく取り締まられているので存在自体が【悪】になりますし、踏み越えると犯罪者になってしまうので、気持ちのブレーキが掛かりやすいのですが、アルコールやギャンブルはもちろん、ゲームやインターネットは取り締まる法律がありません。謂わば、社会的に他者にどれだけ迷惑をかけようと、本人の社会生活に支障が出て関わる人たちに困り感が出ようと、何も取り締まることはできないのです。

取り締まれないとはいえ、それが原因で反社会的行動を起こした結果、刑事罰になったケースはありますし、民事となったケースもあります。

一般家庭にパソコンが普及し、誰もがスマホを持ち、子供たちは携帯ゲーム機を持つ現代。新しく認定されたゲーム障害ですが、インターネットが身近になったこと、幼少期から気軽に携帯ゲーム機を買い与えられ、大人しくなるという理由で親側も安易にゲームに頼る、結果、どんどん費やす時間が増えることで、依存症の土台を作り上げていきます。

これらがゲーム依存症を激増させている原因とも言えます。

具体的にゲーム障害はどのような形で社会生活に支障が出るのでしょうか。子供ならば、癇癪を起こしやすい、やりたいことをやらなくてはいけないことより優先してしまうことで、生活習慣が乱れ、遅刻や欠席が増える、大人であれば、夜中までゲームをして生活習慣が乱れる、課金するようになれば歯止めが利かなくなる可能性、家庭であれば家庭でのコミュニケーションの減少、こうした社会生活上の問題が出てきます。

大人ですら止めづらいゲーム、楽しいことにすぐ夢中になる子供が依存しないわけがありません。依存するように“面白く”“止めづらい”ようにできているのがゲームです。一時期『反射神経が鍛えられる』という話がありましたが、そもそも親指だけ必死に使って、身体能力である反射神経が鍛えられるのか?と甚だ疑問です。

アルコールやギャンブルにも言えますが、依存症に陥っている人は自覚が乏しく、他者からたしなめられたり意見されたり、止められると、言い訳(「自分は違う」) → 逆ギレという行動パターンを取る人もいます。ゲームに関しても同じで“思いどおりにならない(させてもらえない)こと”への苛立ちから、言い訳がましくなったり逆ギレする場面も出てきます。

大人はともかく、子供のゲーム依存は親(大人)の責任に依るところが大きく、このゲーム問題は今や小中学校でも大きな問題となり持ち上がっています。

ゲームをやる時間に始まり、ゲームソフトの貸し借りによるトラブル、ひいてはお金が絡むトラブルにまで発展しています。生活習慣、人間関係、そして金銭トラブル。まるで大人社会の縮図のようだと感じませんか?

闇雲に『ゲームは悪影響だから全面禁止!』という乱暴な考えはありませんが、一定の基準を設けるなど対策が求められるところに来ていると感じています。

実は我が家でもゲームについて子供と衝突が起きており、対応に苦慮している真っ最中です。

長時間のゲームは脳の活動を低下させると言われており、言語や社会性の発達、認知能力の注意集中能力などが阻害されるという報告もあります。今からお子様にゲーム機やスマホ(インターネット)をお考えの方は、与える前にルールをしっかり伝え、両者納得の元、ゲーム障害にならないよう利用の仕方を考えてみることや親自身もゲーム障害がどのようなものか事前に調べてみるのもよいと思います。