連載:アサーション【4】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

アサーションの連載最終回は、アサーティブなコミュニケーションを心がけるために幾つかワークをやってみましょう。

【自分の気持ちに気づく1】

気持ちを表す言葉をできるだけ多く書き出してみましょう。

例)楽しい、嬉しい、悲しい など

【自分の気持ちに気づく2】

次の( )の中を自分と向き合いながら埋めてみましょう。

  • 私は(  )とイラッとする。
  • 私は(  )と楽しい気持ちになる。
  • 私は(  )と悲しい気持ちになる。
  • 私は(  )に喜びを感じる。
  • 私は怒ると(  )になります。
  • 私は悲しいと(  )になります。
  • 私は嬉しいと(  )になります。

今まででアサーションに必要なことを学んできました。アサーティブには大きな柱があります。それは、

【誠実】【率直】【対等】【選択と自己決定】

です。

また、アサーティブになるために実践、意識しておくと良いこともあります。

自己決定/感情表現/自己責任/断る/頼む/褒める/傾聴できる/率直に意見が言える/交渉する/自己実現/褒め言葉を受け取る/建設的な批判/新しいことに挑戦する勇気/正当な批判を受け入れられる/不当な批判に対し、それを否定し自分の意見や気持ちを伝えられる/長所短所も含め自分を好きでいられる などです。

それぞれの表現の違いから心理パターンを考えていきましょう。

アサーティブな表現
自己決定→相手に表現(気持ち/意見)→それに対し相手がYES、NO→YESの場合「ありがとう」と感謝の気持ち→NOの場合→双方が譲歩、歩み寄りなど擦り合わせをして提案

●アグレッシブな表現
自己決定→相手に表現→思いどおりになる→自分は満足だがイマイチ後味が悪い(後悔する)→相手から嫌われたり敬遠される→孤立する

●ノンアサーティブな表現
不快、不愉快→欲求不満→相手に対し怒りが蓄積(相手を恨む、誰かに八つ当たりする)→キレる、もしくは我慢する→自分のせいと考え、自分を責める→鬱になる

最初は意識しないとアサーティブになれないかもしれませんし、特定の人に対してだけアサーティブになれない場合もあるかもしれません。

自分の中に無意識に「負けたくない」「認めることは負けだ」「謝ったら負け」「言い負かせたい」「自分が正しい」という気持ちがあると爽やかな表現はできません。

そのためにワークで自分を知る“自己理解”が不可欠です。

他者理解をする前に自己理解。

今一度、案外知らない自分自身としっかり向き合い、自分の一番の理解者になってみませんか。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

連載:アサーション【3】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

連載も3回目となりました。今回はアサーションスキルについてです。

対人スキルや感情マネジメントは練習すれば誰でも必ず上達することができます。アサーションスキルも同じです。

アサーションスキルに大切なことは、

●自分自身で自分の気持ちや考えを正確に捉え、自分が感じていること(感情)を把握する。

●相手はもちろん、周囲の状況を観察する。相手の状況や行動を具体的に描写する。

●自分の考えや気持ち(要求・希望)を感情的にならず、正直に明確に表現するスキル。

●言葉(文字)以外のシグナルを活用する。→視覚聴覚といったノンバーバルコミュニケーションスキル。
視覚的→表情、眼差し、身振り手振り、態度や姿勢。
聴覚的→声の大きさ、高低、速さ、話し方
+話をする空間(物理的)、相手との距離、話をする場所の静かさ。

また、話す内容(言葉)と表情が一致していることも大事で、これにより相手の気持ちが伝わりやすくなります。深刻な話をしているのに、ニヤニヤしながら大袈裟なアクション付きで話されたらどうでしょうか?

相手を理解するための“聴く”スキル

自分の考えや気持ち、意見をいの一番に主張するのではなく、相手の気持ちや考えを聴く姿勢を持つ。(普段、職場などでは意識していないと案外できていないことが多い)

共感的に聴き、3D(だって・でも・だけど)で返さない、批判しない、話を被らせない、適切に質問を挟む、沈黙を恐れない。

以上がアサーションスキルです。簡単そうですが、意識しないと自分の癖が出てしまいます。

日常的に意識することこれが肝です。そうすれば誰でも必ず上達することができます。

次回はさまざまな表現から私たちはどのような心理状態になるのか、なぜアサーティブになれないのか?を考えていきます。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

連載:アサーション【2】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

世間はお盆休みも終わり、今週は少し疲れた方も多いと思います。

さて、2回目となる今回は、“自分の考えや気持ちを伝えるということ/相手を理解するということ”について説明します。

ご存じのとおり、コミュニケーションは伝え手と受け手がいることで成立します。受け手がいなければただの独り言ですから。

自分の考えや気持ちを言葉(文字)にして、相手に表現(伝える)し、受け取った相手がそれに対して応える(答える)ことで、相手の考えや気持ちを聴いて(読んで)受け止めますよね。

その後、その事柄に関してズレや誤解が生じていないのかを互いに確認し合い、ズレや誤解があるようであれば、それらを小さくしたり無くすための調整を再度コミュニケーションという手段を使って繰り返していきます。

ここで“自分を伝えるということ”で理解しておかなくてはいけない大切なことがあります。

自分が伝えたことは必ずしも相手に正確に伝わるとは限らない。 ←どんなに長く深い付き合いがあったとしても、自分と他者には価値観や認知の違いがあるもの、察してほしいはただの甘え以外の何ものでもありません。 職場であれば、上司、同僚、後輩、取引先と個人的な深い付き合いはないことが多いので、なおさらと思ったほうがよいでしょう。

より正確に伝えるためには、両者の間に生まれる誤解やズレを埋める必要があり何度もコミュニケーションを繰り返し、わかり合おうとするのがコミュニケーションの“本質”。

自分の思い、考え、気持ちを伝えるには“自分の中にある気持ちや考えをなるべく正確に”取り上げ←ここで自己理解も必要になります。感情的にならず正確に伝える努力をし、明確な自己表現をする。

ことです。

同じように、“相手を理解するということ”についても覚えておかなくてはいけない大切なことがあります。

人の数だけ理解の枠組みがあり、同じ体験をしても言葉の意味付けの違いによって感じ方が変わる。

人は十人十色、皆がそれぞれ異なる準拠枠を持っているもので、理解の方法や枠組みは違うもの、準拠枠が異なれば同じ言葉や出来事であっても感じ方や理解の仕方は異なる。

ということです。普段わかっているつもりでも、案外忘れてしまったり、無意識に自分の準拠枠で相手を見てしまう、あるいは当てはめてしまっていることはありませんか。特に会議などオフィシャルな場での発言は案外伝わっていなかったり、メンバーそれぞれの準拠枠で捉えられていることが多々あります。

【個人対個人】であれば伝わりやすいですが、会議など【個人対複数】となると、人によって準拠枠が異なりますからなかなか伝わりづらいものです。

次回は具体的なアサーションスキルについてお話しします。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

連載:アサーション【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

導入でもお話ししまたが、まず4つのコミュニケーションパターンの説明から入ります。

【ノン・アサーティブ】

納得がいかなくても相手の気持ちや考えを最優先して「わかった/はい」というタイプで、相手は尊重するが自分を大切にしない自己表現。図②

人間関係で起こった問題を「私が悪いからだ」「私のせいだ」と自責に向きやすく「仕方ない・・・」と諦める人に多く見られます。

【アグレッシブ】

自分は大切にしても他者を尊重しない自己表現。図①

他者との関係において勝ち負けで考える傾向が高いので「自分は間違っていない/相手より優れている」と無意識に相手より優位な立場に立とうとすることから、威圧的な態度や押し付けるような一方的な言動が目立つため、反感を買いやすく主張が受け入れてもらいにくくなります。上司になればなるほど気をつけたいですね。

【パッシブ・アグレッシブ】

アグレッシブと似ていますが、作為的なタイプ。図③

納得がいかず不満があっても本人の前ではっきりと主張はせず、何とか察してもらおうとする面倒なタイプです。「自分だけた悪いわけじゃない、悪いのは相手も同じだ(この気持ちのほうが強い)」と考えるので表面上は冷静に見えても、怒りを溜め込んでいます。

【アサーティブ】

自分の気持ちや考えを大切にしますが、同時に相手の気持ちや考えも尊重する自他尊重のコミュニケーションパターン。図④

自分の言いたいことをそのまま伝えるのではなく、相手の考えや立場を尊重し、受け取り方まで考え、その場にふさわしい方法で表現しようとします。時として、意見の食い違いが起こることはありますが、譲歩し合いながら根気よく意見を出し合おうと努力します。

下図で理解してみましょう。

次回は“自分の考えや気持ちを伝える”ということについて、アサーティブになるためのヒントや相手を理解するということはどういうことか?に話を進めます。

8月15日月曜日は夏季休業のため、コラムは休載します。8月20日土曜日から掲載します。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

連載:アサーション【導入】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

今回から5回連載でコミュニケーションスキルであるアサーションについて、じっくり取り組んでいきます。

アサーション、皆さんも言葉くらいは聞いたことがあると思います。

アサーション、アサーティブを直訳すると【主張・断言・断定的】となり、これだとかなり一方的に自己主張するかのように聞こえてしまいます。とても人間関係をまろやかにするコミュニケーションスキルとは思えませんよね(笑)

※アサーション:アメリカが発祥で個人主義の国から生まれたためか、自己主張することの大切さが重んじられた結果、日本語に直訳すると上記のようになったのかもしれません。

ですから、あえてわざわざ日本語にせず“アサーション”“アサーティブ”のような使い方をします。日本語に意訳するとすれば、“さわやかな自己表現”になります。

さわやかな・・・?これまた抽象的で掴みどころのない・・・と思いませんか?私も初めて聞いた時はイメージしにくく頭の中が『?』だらけでした。

アサーションとは、

自分も他者も尊重した自己表現(コミュニケーション)

のことで、

自分の考えや気持ち、欲求を正直に且つ率直に、その場の雰囲気や状況に合った適切な表現で伝えること

になります。

コミュニケーションスキルとは言いましたが、感情マネジメントとしての側面もあることから、今は(公立の)小学校から取り組み始めており、現在高校生である息子も小学校で教わっていました。もちろん企業での講演、講習会や勉強会でも一番ニーズがあるのがアサーションです。

ではなぜ、そこまでアサーションが重要視されるようになったのでしょうか。

人間が生きていく中で常に直面し、一番ストレスを感じやすいのが人間関係と言われています。学校、職場、恋人や夫婦に友人関係、どの場面でも他者との関わりは避けて通れません。関わるというのは、そこにコミュニケーションが生まれるということになります。プライベートではある程度、自分がお付き合いしたい人を取捨選択できますが、学校や職場ではそうもいきません。今ではパワハラやモラハラが社会問題になっていることも背景にあると思われます。

そこで良好な人間関係を築いていくためにアサーティブな表現やアサーションが有効になってきます。

しかし、相手や状況によっては言いたいことが言えなかったり、言い方がわからなかったり、言いたいことをそのまま伝えて相手を不愉快にしてしまったり、怒らせたり傷つけてしまったり・・・これではどのような人間関係でもヒビを入れていまうことになりかねません。

アサーションでは自己表現の仕方を4つのタイプに分けて考えていきます。

  • ノン・アサーティブ
  • アグレッシブ
  • パッシブ・アグレッシブ
  • アサーティブ

それぞれの特徴を理解し区別できるようになること、そして自分のコミュニケーションパターンを知ることからスタートします。

次回から具体的に自己表現やコミュニケーションパターンについて、お話ししていこうと思います。

8月15日月曜日は夏季休業のため、コラムは休載します。8月20日土曜日から掲載します。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

『意識したコミュニケーション』の重要性

メンタル・イデア・ラボ、AEのスミです。

弊社はメンタルサポートと広告制作の業務をしています。先日、広告制作の仕事で、ある店舗経営者からコンサルティングのご依頼を受けました。ざっくりと言うと、店舗のイメージを刷新したいが、どうしたらよいか?というものでした。

その時、当たり前ですが、クライアントの話を聞くところから始まります。クライアントの話、つまりはクライアントが考える店舗のイメージをまず聞くということです。広告業界でいうところのオリエンテーションです。

クライアントはクライアントの思いを語ります。その時に聞く側、つまりここでは私側が重要になるのは、その思いに疑問に思ったとしても一度は受け入れることを『意識する』ということです。つまり否定はしないことです。

ただそれだけでは、私がいる意味がなくなってしまうので、私の意見を求められた時は「そのお考えを軸に、こういう考えをプラスしてみては?」という言い方を心がけています。これは意識しないと、つい「いや、こうしたほうがいいと思いますよ」という言い方になり、相手をちょっと不快にさせてしまう可能性があります。出鼻をくじかれる、という感覚でしょうか。最初の“いや、”という言葉は否定の言葉だからです。類似した言葉に「でも」「それよりも」などがあります。

話をしている過程で、何度もあたまに“いや、〇〇がいい”“それよりも、〇〇がいい”という言い方が続くと、相手はどんどん否定された気持ちになります。そしていつしか『カネを払うのはこちら側なのに・・・』と、たとえ正しいことを言っていたとしても、相手は不快感が強くなり「なんか気分が悪い、不愉快だ」になります。憮然とした顔になっていきます。

なぜか?クライアントも人間だからです。

人間だから否定されたら単純に嫌な気持ちになります。否定の仕方が直球過ぎると、たとえ正しいことでも、人は反射的に不快感を覚えます(正義を振りかざす人は、大体こういう傾向にありますね(笑))信頼関係が築けていない相手からだと尚更です。言われた側は「こっちの苦労や事情も何もわからないくせに、わかった口を利きやがって」となります。

クライアントに不愉快な思いを極力させないように意見する時は、相手の言うことに耳を傾け(だいたいここまでは社会人であれば誰でもできていると思います)、その後、相手の考えを肯定しつつ、その考えを膨らませることを“意識して”、自分の考えを伝えることを心がけます。

膨らませた結果、一見クライアントの考えとは別のものになることがありますが、ベースはクライアントの考え、が軸になっているので、ブラッシュアップされたものとして受け入れてくれることが多々あります。

例えば料理で言えば、料理好きな妻(夫)が「おにぎりを作ったよ!」と言ったとします。誰が作っても美味しいと思いますが、まず「美味しいね!」と言います。大体はここで終わると思いますが、あえて次に「ひと口サイズも作ってみたら?そしたらついついいつもの量よりいっぱい食べちゃうかもー!」と言います。

美味しいことを伝えるだけでもいいですが、それに『ひと口サイズ』を提案し、さらに『いつもよりいっぱい食べちゃうかも』と期待感を伝えることで、料理好きな妻(夫)のモチベーションをくすぐる、という構図です。美味しく完食されて完結するのが料理の最大の目標ですから、次はもっと美味しいもの作るぞ!となるかもしれません。

そうすることで、一緒に作り上げている気持ちを抱いてもらいやすくなります。今度のことでいえば、店舗のイメージを一緒に作り上げる気持ちを抱いてもらえるということになります。考えを相手に言い聞かせる、というスタンスだと主従関係のようになり、クライアントなのに『従』の立場になるのは、ちょっと腹立たしくなるのは当然でしょう。また依頼された側もクライアントに『従』だと疲弊しかねず、いいパフォーマンスを発揮しにくくなり、言われたとおりやればいい、となります。

仕事において主従関係はあまり好ましくない。厳密にはそうでも、現場ではそれを感じさせないコミュニケーションが重要になると思います。対等とは違いますが、一緒に作り上げるチームのような関係は、クライアントもこちらも高いモチベーションで取り組めることは経験上間違いはありません。

それにはやはり“相手の考えを否定しないことを意識したコミュニケーション”が重要だと改めて感じさせられました。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

プラスに言い換えて受け止め方を変えてみましょう【リフレーミング】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

リフレーミングとは・・・

物事を見る枠組み(フレーム)を変え、違う視点で捉えることで前向きに解釈できる状態になることです。

ネガティブに捉えがちな自分の短所(と思い込んでいる)を違う角度から眺めてみると、案外長所だったりするものです。

例えば、“人見知り”は“慎重である”と言い換えることができます。

探し出してリフレーミングで一般的にネガティブと思われがちないろいろな言葉をプラスに言い換える練習をしてみましょう。

愛想がない
→その人の肩書きや出会った状況に流されない。

●心配性
→感受性が鋭く慎重、真面目で責任感が強い。

●流されやすい
→柔軟性があり、臨機応変で適応力が高い。

●見栄張り
→発想力がありエネルギッシュ、向上心がある。

●目立ちたがり
→社交的で行動力がある。

●弱虫
→自制心が強く慎重、物静かで思慮深い。

●腹が立つ
→正義感が強く、自分に正直。

●優柔不断
→多角的に物事を見ていて慎重。

●気分屋
→自由で感情表現が豊か、切り替え上手。

など。

短所だと思ってコンプレックスがあったり、ネガティブな感情を持つ自分が嫌になった時こそリフレーミング。←ここがミソです。開き直ってリフレーミングすると、間違った方向へいきます。例えば『腹が立つ』の場合、開き直って<気に入らないならしょっちゅう腹を立てていい>と言っているのではありません。それは単なるわがままで、場合によっては即、パワハラ、モラハラになります。

物事は一方の方向から見るものではなく、あらゆる角度から見て判断するものです。頭でわかっていても、日常の生活や仕事に追われていると、ついついそのことを忘れて、自分の尺度や自分が考えるフツーという物差しで相手(他者)や物事を見ていませんか?

ペットボトルも、上から横から真下からと、視点を変えるといろいろな表情(形)があります。ペットボトルのシルエットを想像すればわかると思います。

あなたが短所だと思っていることが、他者からは案外魅力的に映っているかもしれません。

ちなみに私のパートナーは“超”がつく人見知りです。心のハードルが物凄く高いのですが、その分バウンダリーがしっかりしています。おいそれと内側(内面)に踏み込めないタイプです。

パートナー本人はどう感じているのかはわかりませんが、私からは慎重でリスク管理能力が高く、とても頼り甲斐があると思っています。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

『メンヘラ』と呼ばれる人たち

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

【メンヘラ】

もちろん正式な心理学用語ではありませんが、この単語が市民権を得てずいぶん経ちます。今では【ファッションメンヘラ】【ツンデレ】【ヤンデレ】と種類も豊富で、どこまでも広がりをみせ、進化し続けているのがメンヘラです。

親から受け継ぐ気質的なものが多少は関係しますが、生まれつきのメンヘラはいません。ならば、なぜメンヘラになってしまうのでしょうか。

メンヘラは自分に自信がありません。

親を含め他者からダメ出しや否定ばかりされていると、「自分はダメ人間なんだ」と思い込まされ、自尊感情が育ちません。これは抑圧によっても起こります。

「お前なんか何やってもまともにできない人間なんだ」と毎日言われ続けたら、初めは「そんなことない!」と思っていても「そっか・・・そうなんだ、私なんて何やってもダメで価値のない人間なんだ・・・」と劣等感に苛まれ自信がなくなりませんか?

自分で自分を大切にしよう、自分にはいいところもたくさんある、私は大切にされる価値のある人間なんだ・・・これが自尊感情です。

自分が嫌い、自分なんて・・・と劣等感が強く自己肯定感がとことん低いのもメンヘラの特徴ですが、これだけだと落ち込んで後ろ向きなネガティブ全開の時には誰もが陥る可能性があります。

しかし、メンヘラになると「こんな私は愛してくれる人なんていない、いるはずがない、私なんか誰からも必要とされない」と勝手に思い込むので、その人を大切に想う恋人や大切にしたいと思う友人の自分に向けられる愛情や好意を彼らが納得する証拠がなければ信じることができません。

その結果、「この人は本当に私を愛しているのか」「本当に私のことを大切にしているのか」を自分の尺度で確認するために、証拠が欲しくて“試し行為”に出ます。ほとんどが無意識におこなわれるため、本人に試し行為をしている自覚はありません。

  • 本当に好きならLINEの返事をすぐくれるはず
  • 既読無視なんて絶対しないはず
  • 本当に好きなら道行く異性を見たりしない
  • 本当に好きなら言わなくても私のことをわかってくれるはず
  • 本当に好きなら死にたいなんて言ったら私を心配してすぐに来てくれるはず
  • 本当の友達なら私の言ったことを否定しないはず

など、試し行為はあらゆる場面に及び、試し行為で一度は納得しても、そもそも根底には他者を信じられないベースが出来上がっているので、繰り返し繰り返し形を変え試し行為がおこなわれます。

パートナーや友達がメンヘラだと、いくらその試し行為に応えても底の抜けたバケツに水を注ぎ続けるように、一杯になる(満足する)ことはありません。満足(信用)できないのです。

感情のコントロールができないので、良くも悪くもスリリングで不安定な付き合い方になります。最初は人懐っこく感情表現が豊かな人だと魅力的に映りますが、あまりに感情の起伏が激しいと振り回されて一緒にいることがツラくなるほど疲弊します。

すぐ怒る、すぐ泣く、すぐ責める、すぐ自虐的になる、すぐ大量に薬や酒を飲む、すぐ手首を切る、すぐ被害妄想を炸裂させる・・・でもどっぷり依存する。

生まれつきのメンヘラはいないことを考えると、すべては後天的であり親を含め他者との関わりの中で傷つき体験を重ね、大きな歪みを生じ自己肯定感より自己否定感が上回ってしまった、と考えられます。

信じたいのに信じることができない。信じるために試し行為を繰り返し、それが原因で人間関係がズタボロになり周りに人が居なくなり、ますます自信を失くし「やっぱり自分は価値のない人間」「やっぱり愛されてない」「やっぱり誰も自分をわかってくれない」「やっぱり人は裏切る」と傷つき、さらに失敗体験を重ねてしまう、まるで負のスパイラルです。

とても辛いと思います。

メンヘラの多くはパーソナリティに何らかの問題を抱えています。そしてそれは生育歴にまで遡らないと複雑に絡まった糸玉を探すことも、ほぐすこともできないことがほとんどでした。本来の自分らしさを取り戻していくその過程も想像を絶する辛さの連続になる人が多く、あまりの苦しさに途中脱落していくクライエントも多くいます。

人の心はいとも簡単に操作されますし、傷つけられ続けると簡単に認知は歪みます。思い込みや被害感情ばかりが強くなり、それが認知の歪みを引き起こしていることにすら気づけなくなります。

ファッションメンヘラは知りませんが、なりたくてメンヘラになる人はいないと思っています。

発達障害とは違う生きづらさを抱えている人たち、それがメンヘラでもあるのです。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

厄介な自己愛オバケ

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

“自己愛”と聞くと、どんなイメージを持ちますか?

自己愛は、自分を認めありのままを受け入れていくことで育まれていく自己肯定感のベースになります。

ただ、自己愛が強過ぎる(自分大好き過ぎ/自分大切過ぎ)とかなり厄介で、周りから疎まれる存在になってしまうのも事実です。

その自己愛オバケの特徴を見ていきましょう。

他者から賞賛されること、承認欲求が強い

→SNSで「いいね」の数、賞賛コメントが少ないと自尊感情が低下してしまう。自分が期待する反応がないと「自分はもっと評価されるはずの人間なのに」と落ち込んだり、評価されなかったことに対して怒りを覚えます。

他者から特別な配慮や敬意を持った扱いをされることを期待し(それを当たり前と考えている強者もいる)、それが叶えられないと不満・鬱憤を溜め怒りを覚えやすい。

→自分を特別扱いしてほしいかまってちゃんにありがちですね。成り金もこのタイプが多い傾向にあります。

自己愛強過ぎタイプで有能感が強い人

大昔に大企業のお偉いさんだったであろう(あるいは地区のお偉いさんとか?)今はただの人が「俺を誰だと思ってるんだ!(怒)」とコンビニで息巻いて突っ掛かりまくりなのを見たことがありますが、まさに「俺スゴイ俺エライ」と、この自己愛拗らせ倒した自己愛オバケの典型です。社会的地位の高かった男性に多い傾向にあります。なかなか滑稽ですが、カラまれる側はたまりませんね。

自分の不安や不満、感情を調整して表出コントロールしずらく、他者に感情の尻拭いを持っていきがち、あるいはぶつける。

簡単に言うと、八つ当たりですね。当たられた側は不愉快極まりないと思います。

また、自己愛の強過ぎる人はとても傷つきやすい人でもあるので、傷つかないために他者の言動に反応する心の防衛反応が過敏で攻撃的になりやすいと言えます。実際、自己愛が強過ぎる人は他者に対し「えっ?そんなことで?」「どこに地雷あった?」という場面で攻撃的な態度を取ります。ある意味、このタイプも生きづらいだろうと思います。

いろんな“生きづらさ”をテーマに、次回は【メンヘラと呼ばれる人たち】について考えてみます。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

番外篇:感情解放

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

良くも悪くも“感情”は、私たちをザワつかせ振り回します。

嬉しい楽しいといったポジティブな感情は解放しやすいのですが、不安やイライラ、妬み、悔しい、怒り、悲しい、孤独というネガティブな感情は、無意識に自身で恐怖や不安という堤防を作るので、解放しにくいと言われています。

解放=(誰かに)ぶつける

ではありません。

そもそも“感情”とは一体何なのでしょうか?

感情は潜在意識(無意識)と深く結びついています。自分の感情を意識し受容していくことは、自分自身を深く知ることにも繋がっていくのです。

厄介なことに潜在意識は抑え込もうとすればするほど反発する性質があります。悲しい時に我慢して泣きもせず、悲しい気持ちから目を逸らしても、いつまでも突き刺すような悲しみがそのままの形で心の底に澱(オリ)のように降り積ります。

私たちは感じたくない、受け入れたくないネガティブな感情をよくないもの、邪魔なものと考え意識の外や横に追いやろうとしたり、何とか抑え込もうとします。先ほど書いたように、感情は抑え込もうとすればするほど反発する性質があります。

感情とは形を持たない“力”であり“エネルギー”です。

見えなくても確かに存在する掴みどころのないもので、数値化も難しく視覚化もできません。それは経過と共に形を変えることもありますし(不安→不信→怒りや孤独など)、人を動かす大きな影響力もあります。以前【感情は感染する?】というコラムでも書きました。

感情は何も他者に向けるだけではありません。上手くいかないことがあると不安になりますし、プレゼン前には緊張もするでしょう。大丈夫だと思っていたのに失敗すると、そんな自分に腹が立つこともあります。

ポジティブな感情も受け入れたくないネガティブな感情も共にエネルギーで、表出しやすい/表出しにくいだけの差です。

言葉にしなくても感情は伝わりますよね。険しい表情をしていれば怒りや不快感だとわかりますし、ニコニコしていれば「いいことでもあったのかな」とわかります。

そう、感情はあなたがあなた自身を知るため、他者があなたを知るための大切なノンバーバルコミュニケーションでもあるのです。

ネガティブな感情にフタをせず、ありのままを受容していくのは怖くもあり不安でもあるものです。その恐怖から感情に抗ったり見て見ぬフリをしたり、何とか収まらないかと気を紛らわせてみたり・・・。

マインドフルネス、聞いたことがあると思います。『今ここ』に意識を集中し、あらゆることを感じ、ありのままを受け入れていく一つのストレスマネジメント方法です。

いつも口だけで有言不実行な同僚にイライラする→自分は今とてもイライラしている、を意識します(イライラの原因を追求するのではありません)。→ただただ「ああ、自分は今とてもイライラしているんだな」と自身の感情に向き合い、感情を把握するだけです。

それが“あるがまま”です。

「イライラしちゃいけない」と自分の感情を否定することも、「イライラするのは自分の心が狭くて余裕がないからだ」と分析してもいけません。

受容するというのは、そもそも“受容する”ことがどういうことかを知らなくてはできません。

どんな感情もジャッジせず、目も背けず、そのままの状態で取り出すイメージです。

今、怒っている。今、嬉しいと感じている。今、妬んでいる。今、悲しい気持ち・・・

自分を知るために、感情に振り回されないために感情を解放する練習をしてみると、少しだけ自分がラクになります。

<運営会社:Jiyuuku Inc.