セルフ認知再構成法にチャレンジしてみましょう【2】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

認知行動療法にはセルフモニタリングというスキルがあります。

セルフモニタリングは、感情マネジメント(アンガーコントロール/ストレスマネジメントなど)など、セルフコントロールを身につける上でベースとなる重要なスキルで、自分の今の状態を観察し、記録、評価することです。

自分自身の気持ちや行動を観察し整理していくことで、無意識にある考え方のクセを知ったり、自分をコントロールするヒント、問題解決の糸口が見えてきます。

コラム法は書き出していくことでセルフモニタリングスキルを身につけていく方法です。慣れるまでに多少時間はかかりますが、慣れるといちいち書き出さなくてもセルフモニタリングできるようになります(いつも幽体離脱した自分を少し離れたところから眺めてるイメージ)

コラム法で使うシート(私はノートに線を引いてお手製を使っていました)を思考記録表にして、3コラム法(1でお話ししました)、5コラム法、7コラム法をおこないます。

3から7に質問項目が増えるだけですが、いきなり7コラム法に取り組もうとすると面倒くさくて嫌になってしまうので、私は「気軽に3コラム法からスタートしましょう」と話しています。

(1)状況:気持ちが動揺したときの一場面(どんな嫌な事があったか)。
(2)気分:そのときの気持ち(どんな気持ち/感情になったか)。←数値化します。
(3)自動思考(その時に浮かんだ考え)。
──────ここまでが3コラム法

(4)根拠:自動思考を裏付ける具体的な事実。
(5)反証:自動思考と反対の事実。
──────ここまでが5コラム法

(6)適応的思考:バランスのよい考え。
(7)いまの気分。
──────ここまでやって7コラム法です。

最終回では具体例を出しながらお話ししようと思います。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

セルフ認知再構成法にチャレンジしてみましょう【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

今回から3回に分け“コラム法”についてお話ししたいと思います。雑誌や新聞のコラムとは違います(笑)。

コラム法には項目数によって3・5・7コラム法があります。

アプリなどもありますが、私は敢えて紙(ノート)とペンで書き出す方法を勧めています。
自分の手で“書く”というアウトプット自体に意味があると考えているからです。
文字を書くのが苦手でも構いません。
誰に見せるわけでもないので全部ひらがなでも構いません。
ただ、後で読み返した時に自分が読めるような字で書くことだけを意識して下さい。

まずは簡単で手軽に取り組める3コラム法からスタートしましょう。

3コラム法は『出来事』『感情』『考え』から構成されます。

それぞれ書き出し、感情の部分には数値をつけます(今まで一番その感情が強かった時のことを100とすると、今の感情の強さはどれくらいか)。

例)
●出来事→ホームで歩きスマホをしていた人にぶつかられた。
●感情→怒り(ムカ!)85。
●考え→歩きスマホなんかするからだ、邪魔だ。

●出来事→朝、夫にゴミ出しを頼んだら「そのくらいやってよ、朝は忙しいんだよ」と言われ、やってくれなかった。
●感情→イライラ、モヤモヤ97。
●考え→私だって働いてるし、子供を保育園に連れて行く準備があるのに、何故ゴミ出しすら協力しないの!

自分の感情を(特にネガティブな感情/怒り、不安、焦り、モヤモヤ、悲しい等)数値で表せるようになることは、認知行動療法で大切なスキルですので、軽く取り組んでみで下さい

【2】では、より効果的に自分の思考を掘り下げる5コラム法を取り上げます。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

うつ病【2】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

前回の続きとなります。【2】ではサポートする側が心がけてもらいたいことについてお話しします。

大きく5点あります。早速見ていきます。

①まずは、焦らずゆっくり休養できる環境を整えましょう。

周りの人が焦ると本人にも焦りが出てしまうので、本人のペースを尊重してください。また、本人に焦りが見られたら上手くブレーキをかけて、無理をさせないことも大切です。

②休養できる環境とは、普段本人がやっている家事などを代行することも含まれます。

負担を減らす、と考えるとわかりやすいかもしれません。

③励まさない、無理に勧めないことも大事になります。

本人が望まないのに「気晴らしに」と連れ出そうとしてみたり(「気分が良ければ散歩に行ってみる?」程度は良いと思いますが、「気晴らしに映画に行こうよ」という誘い方は感心しません。)気分が乗らないことをさせようとするのは止めましょう。

④踏み込み過ぎず適度な距離感で精神的にサポートしましょう。

話したくないのに「話せばラクになるから」と無理に話させないようにし、「話したいことがあればいつでも聴くから遠慮なく言ってね」と声がけをして見守ってください。

⑤鬱状態にあると「死にたい」という言葉が出る時もあります。

「そんなこと言ってはダメだ」「死んじゃいけない」「死んでも解決しないよ」などと否定するのではなく、本人にとって“死ぬほど辛い”気持ちに寄り添い、「そっかぁ、死にたくなるくらい辛いんだね」と否定も肯定もせず、そのまま受け取ってください。④のように「辛くてたまらない時に吐き出せばラクになることもあるから、いつでも聴くからね」と伝えてください。あまりしつこく伝えると、かなり負担になるのでサラッと伝えておけばいいと思います。

鬱状態の治療は長期に渡ります。サポートする側が参ってしまい一緒に煮詰まってしまわないよう、それこそ気晴らしや自分の時間をしっかり確保することも大切なことだと考えています。

自分に余裕がまったくない時は、支える側もしんどくなってしまいますから、共倒れにならないよう、フラットな気持ちを持てるよう心がけましょう。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

うつ 病【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

お盆休みが終わり、8月も後半になりました。お盆休みは生憎台風が近畿地方に上陸し新幹線が大混乱となりました。

さて、お盆明けのコラムは2回にわたって『うつ病』について書いていこうと思います。ポピュラーと言っては言葉が悪いですが、今や日常的によく聞く言葉ではないでしょうか。

通勤時など、よく利用する路線がしばしば遅延します。その理由の一つが人身事故と言われる“飛び込み自殺”です。電車に飛び込むという手段ではなくても、悲しいことに私の周りでも何人もの友人が大切な人を自殺で亡くしています。

今回は自殺の引き金として一番多いとされる『鬱(うつ)』について、その原因や症状についてお話ししたいと思います。

うつ病の原因は人の数だけありますが、決して心の弱さから発症する病気ではない、ということをまず知っておいてほしいと思います。根性論で「心が弱いから」「気にしなければ大丈夫」「気合で乗り切れる」などとのたまう人がいますが・・・ぜひ、鬱になってどれだけ辛いのかを、じっくり味わった後で同じことを言ってほしいものです。

気合で乗り切れたのだとすると、それは鬱ではありません。日常的によくあるただの気分の落ち込みです。寝て美味しいものを食べたら復活する程度の気持ちの疲れだった、ということです。

話は戻りますが、うつ病は本人の物事に対する受け止め方や周りの環境、ストレスなど複数の要因が複雑に絡み合って引き起こされます。

急激な環境変化(就職/転職/家族の不幸など)や強いストレス(望まない人事/いじめ/パワハラ・セクハラ/持病の悪化など)に直面して心身が疲れている状態が持続すると発症のトリガーになります。意外かもしれませんが、昇進や結婚などポジティブなはずの出来事がきっかけで発症することもあります。これは、嬉しく好ましい出来事も“ストレス”であることの表れです。

うつ病はさまざまな症状がメンタルや身体に表れます。

心の不調としては、

  • 憂鬱な気持ち。
  • イライラする。
  • 焦燥感がある。
  • やる気がない。
  • 今まで楽しかったことも楽しく感じない。
  • 感情が平坦になった気がする。
  • ネガティブな考えが繰り返し浮かび抜け出せない。
  • 自分を責める。
  • 自殺を何度も考えてしまう。
  • 無気力になる。

身体の不調としては、

  • 眠れない。
  • 眠った気がしない。
  • 背中や肩が痛む。
  • 頭痛や腹痛。
  • 食欲減退。
  • 性欲減退。
  • 体のダルさや重さ。
  • 疲れやすい。
  • 体重減少。

などです。

鬱状態は心身の十分な休養や環境見直し、投薬などで時間の経過とともにアップダウンを繰り返しながら落ち着いていくケースが多いので、焦りや不安を上手くコントロールしながら気長に治療を続けることが何より大切です。

また、このような状態の時には普段よりマイナス思考が強いので、大事な決断(就職/離職/結婚/離婚/転居など)は先送りし、落ち着いてから考えるようにしましょう。

治療は薬と認知行動療法を主軸におこなわれます。特に認知行動療法や対人関係療法は始めてすぐに満足する結果は表れないので、治療には時間がかかることを理解してほしいと思います。

鬱状態の時は本人が辛いのはもちろん、周りでサポートする人もなかなか大変です。次回はどのようなサポートをしていけばよいのかお話ししようと思います。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

認知と自動思考【2】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

今回は認知再構成法についてお話しします。

認知再構成とは、今ある認知を変化させることです。今ある認知を見直し、“再び”構成していく、で認知再構成です。

認知を変化させるとあなたの中にある自動思考が変化します。

自動思考が変化することで、引き起こされる感情に変化が表れます。

認知を変える→引き起こされる感情を変えることができる、ということです。

前回の社内試験に合格できない人を例にお話をします。

【現状→社内試験に自分だけが合格できない】

これを前回とは認知を変えて考えてみましょう。

「誰でも失敗するし、上手くいかない時はあるよな。誰でも失敗すれば落ち込むのは当たり前だ。大切なのは落ち込んでも前に進み続けようとすることだ、うん、そうだ!」

「足を引っ張ってしまい自分を疎ましく思う人がいるかもしれないが、自分には絶対に味方になって応援してくれる人がいる!」

こう変えることで落ち込み過ぎて絶望したり、必要以上の孤独感を感じることは薄くなります。

認知再構成により、感情をより良い方向に変えていく方法を認知再構成法といい、数ある認知行動療法のひとつです。

落ち込むことがあると悲観的な気持ちになるのは誰もが経験することです。

落ち込むな、ではありません。落ち込んだ後にリカバリーする力、“レジリエンス”を意識した考え方が認知再構成かもしれません。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

認知と自動思考【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

以前コラムで“認知”とはその人が持つ物事に対する捉え方/考え方という話をしたので覚えている人もいると思います。

2020.10.25コラム 2020.10.30コラム 2020.11.5コラム

また、“思考”とはその人が認識した物事についての解釈であり、【自動思考】とは無意識に自動的に頭に浮かぶ思考を言います。

認知(自動)思考に反映され、感情(自動)思考により引き起こされます。←一瞬のことなので気づかないかもしれませんが、誰もが思考する前に感情は先立っています。

そして、“感情は認知を変えれば変化する”←これがさまざまな認知療法のベースになっています。

今回は誰にでもある自動思考について、ちょっと深掘りしていきましょう。

思考が感情を生み出すという話はしました。

自動思考は勝手に自動的に頭に浮かび思考してしまうので、その人自身が意識することができません。

(自動)思考がどのように感情を生み出すのか簡単な例を挙げてみます。

(現状/状況の把握 A)
今回も社内試験に合格しなかった。
        ↓
(頭に浮かぶ自動思考 B)
同期は全員試験に合格しているのに、自分は足を引っ張っててダメな人間だ。きっとみんな無能だと思っているに違いない。
        ↓
(そこから生まれる感情 C)
絶望感と疎外感など。

実際は、

(A)現実の状況把握をすると、その解釈を脳が自動的におこなう。

(B)解釈した内容が思考として頭に浮かぶ。

思考の結果、

(C)さまざまな感情が想起される。

タバコをポイ捨てする人を見た。→やはり喫煙者は非常識だ!→腹が立つ/嫌悪する。

こんな感じでしょうか。

認知はその人自身の育ってきた環境や関わってきた人たちにより、生まれたその人自身の価値観や考え方が強く影響しますから、多少乱暴ですが限りなく平たく考えると、

認知=自動思考

と言えるかもしれませんね。

次回は認知再構成法についてお話しします。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

認知療法について<3>

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

最終回の今回は論理療法の練習問題です。早速ですが、練習問題に取り組んでいきましょう。以下の例を論理療法で考えてみてください。

練習問題①

A(出来事)
就職(転職)活動で第一志望、第二志望の有名企業に落ちて、無名の中小企業にしか入れなかった。
   ⬇︎
B(考え方)
世の中は所詮、有名企業(大企業)に入ったもん勝ち、どこの会社に入るかで勝ち組負け組が決まる。自分はこれからもうリカバリーできないだろうし、同級生たちにもバカにされるんだ・・・。
   ⬇︎
C(結果)
劣等感が強くなる。
自己肯定感が低くなり卑屈になる。
他者を妬んだり羨むことが増える。
友達に会いたくなくなる。

という状況の人がいたとします。それではBについて3つの視点で論駁してみましょう。

  • 事実に基づいているか?
  • 論理的な考えか?
  • 人を幸せにするか?

解答例

・事実に基づいているか?
第一志望、第二志望に就職(転職)できなくても幸せな人生を歩んでいる人はいくらでもいるよな。

・論理的な考えか?
“有名企業or大企業=幸せor成功者”というのは極論すぎる。
世の中のほとんどの人は大企業に勤めていない。
(日本の企業数のうち大企業は0.3%、労働人口の約7割弱が中小企業従事者:2020年5月20日日本経済新聞)
それでも幸せに暮らしている人はたくさんいる。

・人を幸せにするか?
この考えを持つと私は一生自分を惨めに苦しめることになる。
人を学歴や職業、会社の名前で判断する人間になってしまう。この考えは幸せにはなれないようだ。

練習問題②

A(出来事)
人前で話す時に緊張して声が上ずって汗だくになってしまう。
   ⬇︎
B(考え方)
人前で上がってはいけない。
手が震えるとバカにされる。
   ⬇︎
C(結果)
人前で話すことを避ける。

という状況の人がいたとします。それではBについて3つの視点で論駁してみましょう。

  • 事実に基づいているか?
  • 論理的な考えか?
  • 人を幸せにするか?

解答例

・事実に基づいているか?
上がってはいけない!と誰かが言っているわけではない。実際に誰かがバカにしているわけではない。有名歌手ですらコンサートの時は上がって手に汗を掻くようだ。

・論理的な考えか?
手が震える人をバカにしている人はおそらく1%もいない。

・人を幸せにするか?
手が震えるからといって主張する機会を逃すと私は逃げ続ける人生になってしまう。これは幸せな人生とは言えない。

まとめると、論理療法は私たちの感情や考え方を

  • A:出来事
  • B:考え方
  • C:結果

この3つに分類します。

Aを変えることはできませんから、感情のBの考え方の影響を強く受けます。ネガティブに引っ張られ落ち込みやすく、何かと負のスパイラルに陥りやすい癖がある人は論理療法を身につけ試してみてほしいと思います。

Bの考え方を捉える際、ポジティブに捉えることとは違うので誤解しないように注意してください。あくまでも事実に基づき、論理的な思考で、人を幸せにするか?です。

その上で前向きに考える癖が増えると心を安定させる力がついていくはずです。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

認知療法について<2>

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

今回は論理療法の用語について解説したいと思います。前回4つの用語を書きました。外在化、セルフヘルプ、ABC理論、論駁です。それぞれについてどういうことかを書いていきます。メンタルヘルスにおいて有効なので知っておいても損はないと思います。

①【外在化】がいざいか

外在化とは、自分の感情や考え方を客観的な状態として把握できるようにする手法で、具体的には自分の感情や考え方を紙とペンで書き出していきます。あえて紙とペンです。
自分の考えを紙に書いて外在化(いったん自分から離して物理的に外に置く)すると、「自分はどんな考えを持っているのか?その考え方は現実的なのか?」と検証しやすくなります。←自分を客観視しやすくなる。
②【セルフヘルプ】自助

セルフヘルプとは、自らが理論と技法を身につけ、それらを日常生活で実践することです。悩みを抱えている人が自分自身で実践し、悩みを低減していくのがセルフヘルプの目的になります。
自分自身で実践していくということは、「自分のカウンセラーは自分」ということです。セルフヘルプは論理療法の理論の中でも特に重要視されています。
③【ABC理論】

ABC理論とは、悩みを生み出す過程を整理した理論で、具体的には以下に示す3つの要素を想定しています。
★Activating event:出来事
★Belief:考え方
★Consequence:結果
この3要素のアルファベットの頭文字がABCなのでABC理論と言われています。具体例を挙げてみます。

A:出来事
彼がデート中に彼の友人の恋人を褒めた。

B:考え方
彼は私をイマイチな彼女だと考えていて、実は別れたがっているに違いない。

C:結果
彼に本当に愛されているのか確かめるため、試し行為(行動/言動)をした。

このような流れになります。論理療法では「Bの考え方」が悩みの根幹あると考え、このBを徹底的に考え検証していくのです。

このB(考え方)についての補足として論理療法では、

◆ラショナル・ビリーフ◆イラショナル・ビリーフの2種類があると考えます。

◆ラショナル・ビリーフでは

  • 合理的な考え方
  • 現実的な考え方
  • 柔軟な考え方

◆イラショナル・ビリーフでは、

  • 不合理な信念
  • 非現実的
  • 『〜ねばならない』思考
  • 過剰な悲観

◆ラショナル・ビリーフを多く持ち“合理的な考え方”ができる人は、物事を現実的に把握できメンタルヘルスは良好に保たれやすくなります。

一方で◆イラショナル・ビリーフを多く持ち不合理な考え方をしてしまう人は、感情の振れ幅が強くなりイライラしたり落ち込みやすくなります。

次に用語4つ目です。

④【論駁】ろんばく

日常的にはあまり使わない言葉だと思います。論理療法では非合理的な◆イラショナル・ビリーフを合理的な考えである◆ラショナル・ビリーフに変えることで悩みが解消あるいは低減されるであろうとしています。
◆イラショナル・ビリーフを変化させ合理的な考えに変えていくことを論駁(ろんばく)と呼びます。

提唱者であるアルバート・エリスは論駁をする上で以下の3点が重要であると説明しています。

●事実に基づいているか?
→根拠のない思考は不安や恐怖、怒りに繋がることが多くなるため、事実確認をしっかりおこなうこと。

●論理的な考えか?
→感情的な考えに巻き込まれてしまうと、悩んでも仕方のないことを繰り返し考えてしまいます(確認もしていないのに決めつけで他者の気持ちを想像する、など)。自分の考えは一方的ではなく論理的か?を意識すること。

●人を幸せにするか?
→他者を不幸にする考え方は非合理なものであることが多いので、自分や他者が幸せになる考え方か?を意識すること。

このように◆ラショナル・ビリーフでBに当たるビリーフを考え直すと、今までとは違った状況(Cの結果)を想像することができます。合理的な考え方を身につけると、起こる可能性が少ない出来事で悩む機会は減りますよね。また被害的・自虐的な思考で自分自身を苦しめることも減ります。

次回は練習問題を使って論理療法を考えてみたいと思います。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

認知療法について<1>

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

今回は論理療法について3回にわたってお話ししようと思います。

論理療法とは、

アメリカの臨床心理学者であるアルバート・エリスが提唱した“人の悩みは出来事に対する受け取り方に左右される”という考えに基づき、出来事を現実的に捉え理性的に正しく考えることで、心が安定していくとされる認知療法の一つです。

国内では認知行動療法の中で取り入れられていくことが多く、組織でも従業員のメンタルヘルス向上のために広く使われており、私も講演や研修会で話をしています。

論理なんてなんだか難しそう・・・そう思うかもしれません。しかし、その理念をしっかり理解すると大いに日常に活かせることがわかってきます。

論理療法にはあまり聞き馴染みのない幾つかの特徴的な用語があります。

①【外在化】がいざいか

②【セルフヘルプ】自助

③【ABC理論】

④【論駁】ろんばく

とりあえず今回はここまでとします。次回は、論理療法を理解するために上記①〜④の用語の解説をしていきます。ちょっと大学の講義のようですが、学生気分で読んでいただければ幸いです。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

PTSDとは【2】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

慢性化したPTSDではトラウマ記憶が断片化しているため、ツラい体験の核心部分の記憶を回避するよう思い出さなくなっていたり、思い出しにくくなっています。

いつまでも回避し続けると、記憶に触れたときの嫌な感情(恐怖、絶望、不安)に慣れることができず、より一層回避が強くなるという悪循環が生まれます。

また、トラウマ記憶の全体を整理することができないことで実際よりも不安を感じたり恐怖を強く感じたり、必要以上に自分を責めてしまったり、人間不信になることもあります。

言い換えると、PTSDのトラウマ記憶とは

昔の怖かった出来事の記憶ではなく、今でも恐怖を生み出し続けている特殊な記憶

ということになります。これを普通の記憶に戻すこと、つまり「トラウマ記憶は過去のことであり、思い出しても今の自分が被害を受けるわけではないこと」を実感してもらうことが情動処理の認知療法となります。長い間トラウマ記憶に苦しんでいるとその影響を受け、自分や周りの人々に対してネガティブな受け取り方や感じ方をする癖がついていることも多くあります。認知の歪み、それを修正していくことも治療の目標になります。

虐待のように長期的に繰り返される被害を受けた場合に特にこのことが重要になります。

治療のためにトラウマについて話しをしながら気持ちや感情を整理していく認知行動療法を行います。その代表的な心理療法が持続エクスポージャー法で、スモールステップで安心、安全を確かめながら心理士と一緒に決まった手順に従い記憶を想起し、今までとは違った捉え方や考え方感じ方を学んでいきます。

<運営会社:Jiyuuku Inc.