メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。
今回は論理療法の用語について解説したいと思います。前回4つの用語を書きました。外在化、セルフヘルプ、ABC理論、論駁です。それぞれについてどういうことかを書いていきます。メンタルヘルスにおいて有効なので知っておいても損はないと思います。
①【外在化】がいざいか 外在化とは、自分の感情や考え方を客観的な状態として把握できるようにする手法で、具体的には自分の感情や考え方を紙とペンで書き出していきます。あえて紙とペンです。 自分の考えを紙に書いて外在化(いったん自分から離して物理的に外に置く)すると、「自分はどんな考えを持っているのか?その考え方は現実的なのか?」と検証しやすくなります。←自分を客観視しやすくなる。
②【セルフヘルプ】自助 セルフヘルプとは、自らが理論と技法を身につけ、それらを日常生活で実践することです。悩みを抱えている人が自分自身で実践し、悩みを低減していくのがセルフヘルプの目的になります。 自分自身で実践していくということは、「自分のカウンセラーは自分」ということです。セルフヘルプは論理療法の理論の中でも特に重要視されています。
③【ABC理論】 ABC理論とは、悩みを生み出す過程を整理した理論で、具体的には以下に示す3つの要素を想定しています。 ★Activating event:出来事 ★Belief:考え方 ★Consequence:結果 この3要素のアルファベットの頭文字がABCなのでABC理論と言われています。具体例を挙げてみます。 A:出来事 彼がデート中に彼の友人の恋人を褒めた。 B:考え方 彼は私をイマイチな彼女だと考えていて、実は別れたがっているに違いない。 C:結果 彼に本当に愛されているのか確かめるため、試し行為(行動/言動)をした。 このような流れになります。論理療法では「Bの考え方」が悩みの根幹であると考え、このBを徹底的に考え検証していくのです。
このB(考え方)についての補足として論理療法では、
◆ラショナル・ビリーフと◆イラショナル・ビリーフの2種類があると考えます。
◆ラショナル・ビリーフでは
- 合理的な考え方
- 現実的な考え方
- 柔軟な考え方
◆イラショナル・ビリーフでは、
- 不合理な信念
- 非現実的
- 『〜ねばならない』思考
- 過剰な悲観
◆ラショナル・ビリーフを多く持ち“合理的な考え方”ができる人は、物事を現実的に把握できメンタルヘルスは良好に保たれやすくなります。
一方で◆イラショナル・ビリーフを多く持ち不合理な考え方をしてしまう人は、感情の振れ幅が強くなりイライラしたり落ち込みやすくなります。
次に用語4つ目です。
④【論駁】ろんばく 日常的にはあまり使わない言葉だと思います。論理療法では非合理的な◆イラショナル・ビリーフを合理的な考えである◆ラショナル・ビリーフに変えることで悩みが解消あるいは低減されるであろうとしています。 ◆イラショナル・ビリーフを変化させ合理的な考えに変えていくことを論駁(ろんばく)と呼びます。 提唱者であるアルバート・エリスは論駁をする上で以下の3点が重要であると説明しています。 ●事実に基づいているか? →根拠のない思考は不安や恐怖、怒りに繋がることが多くなるため、事実確認をしっかりおこなうこと。 ●論理的な考えか? →感情的な考えに巻き込まれてしまうと、悩んでも仕方のないことを繰り返し考えてしまいます(確認もしていないのに決めつけで他者の気持ちを想像する、など)。自分の考えは一方的ではなく論理的か?を意識すること。 ●人を幸せにするか? →他者を不幸にする考え方は非合理なものであることが多いので、自分や他者が幸せになる考え方か?を意識すること。
このように◆ラショナル・ビリーフでBに当たるビリーフを考え直すと、今までとは違った状況(Cの結果)を想像することができます。合理的な考え方を身につけると、起こる可能性が少ない出来事で悩む機会は減りますよね。また被害的・自虐的な思考で自分自身を苦しめることも減ります。
次回は練習問題を使って論理療法を考えてみたいと思います。
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