実行機能について【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

【実行機能】

実行機能とは私たちの日常生活に欠かすことのできない認知/行動機能のうちの一つで、目的(課題/作業)を遂行達成するために“思考/感情/行動”を自身で制御、抑制する機能のことで、そこには時間管理や感情コントロールなども含まれます。謂わば、“脳の管制塔”としての役割を果たしていると言えます。実行機能に弱さがあると、社会生活のさまざまな場面で困り感が表れます。

簡単なところでいえば、「部屋の片付けをするのに段取りを考える」「いくつかある作業を優先順位をつけ進める」なども実行機能に関わってきます。

実行機能には重要な要素がいつくかありますので、ひとつずつ細かく見ていきましょう。

●自動反応の制御
自分の認知行動を俯瞰する力であるメタ認知や、マルチタスクを可能にするワーキングメモリーと組み合わされて、状況に応じ不適切な振る舞いをコントロールします。反応抑制で衝動をコントロールできると、その後どのような行動が適切かを考えるための余裕が生まれます。
●ワーキングメモリー
ワーキングメモリーは作業を同時並行処理するために記憶/情報を一時保持しておく能力で、この力が弱ければ作業の抜け落ちやケアレスミスが多くなりますし、効率よく作業を進めることが難しくなります。料理や部屋の片付けはもちろんですが、実は読書もワーキングメモリーをフル活用させる作業です。

目に入ってきた文字を言葉や文章として理解するプロセスでは、入力されたそれらの情報を一旦受け止め、プールしておく必要があります。また、登場人物の特徴、登場場面などは映像として想像しているはずです。記憶/情報をただ記憶しているだけではストーリーを理解できませんので、持続的注意(注意についてのコラム参照※)を使い読書に集中し、読み進めると次々に入ってくる情報を単語から意味を理解しながら脳内でストーリーを思い描いていく情報処理をおこなっていきます。読書では想像映像、言語的視覚的情報を維持しながら知覚も働かせ意味を理解していく処理が並行しておこなわれるため、その作業をする脳の作業台がワーキングメモリーになります。

※注意についての参照コラム:注意機能【1】 注意機能【2】

●感情コントロール
課題遂行、目標達成、自己行動管理のために感情をコントロールする力になります。感情をコントロールするためには、自分の感情に気付く必要があり、そのためのベースとなるのがメタ認知になります。思考やさまざまな注意に柔軟さを持ち、切り替えることができないと感情的に混乱しやすくなり、感情コントロールは困難になります。感情コントロール(アンガーマネジメントだけではありません)ができないと、課題開始、計画立案と優先順位付け、整理と体系化、持続的注意、目標へのモチベーション、時間管理などさまざまな行動に影響を与えます。思ってもみない事態に気が動転し、オタオタして頭が真っ白になってしまう人は、感情コントロールにも目を向けてみるといいと思います。

【2】でも引き続き重要な要素についてお話しします。

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