インクルーシヴ教育を過去“お世話係”だった自分の経験から考える【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

GWも終わりましたね。今週はあまり飛ばさず心身慣らしのつもりでいきましょう。

さて皆さんは“お世話係”という言葉を知っていますか?聞いたことがありますか?

この記事がなぜお世話係が問題になるのか、またそこから見えるインクルーシヴ教育の側面や課題を考える一端になればと思います。

一般的にお世話係で問題となるのは小学生時代です。

お世話係とは・・・

学校生活において何らかのサポートや配慮が必要な子供(児童)に対し、先生(学校サイドが?)が責任感が強かったり、優しくて面倒見のよいしっかりしている特定のクラスメイトに対し、公的(先生自身が「〇〇くん、△△さんのお手伝いをしてあげてね」とやんわりお世話係に任命)、暗黙の了解で先生が押し付ける(いつも同じ班やペアにされたり、近い席にされる)ことでお世話係が生まれます。

およそ小学生の子供に任せるには荷が重過ぎて自由を奪う役割や責任を「みんなと一緒に」「思いやりを持って」「優しさを」「助け合いの気持ちで」と、耳障りのよい納得せざるを得ない言い方や言葉でお世話係を押し付けます。先生に言われたら拒否できない子供の心理を利用しているようにすら見えます。

【1】ではお世話係がどのようなものか、押し付けられた子供の苦悩を、【2】ではインクルーシヴ教育の在り方や疑問点などを書いていきます。

私は小学4年生から6年生まで教師から暗黙の了解で押し付けられたお世話係でした。

A君は今でいう軽度知的障害と自閉症を持っており、こだわりが強く特定の音や匂いでパニックを起こしたり、気に入らないことや思いどおりにならないことがあると、物を投げたり噛みついたり髪を引っ張りました。普通級在籍で通級するレベルではなく支援級案件だったと思います。

当時の私は特別優しくも面倒見のいいほうでもなかったはずですが、責任感だけは強かった記憶があります。今思えば、その責任感のせいでお世話係をやんわり押し付けられたのではないでしょうか。

ノートを取れないA君の代わりにノートを取り、教科書を開いたり定規を押さえたり連絡帳を書いたり・・・彫刻刀を使った図工も危なくないように見守り、給食も仲良しの友達と食べることはできず、校外活動は絶対同じ班、ペアを組む時も当然ペアにさせられ、仲良しの友達と笑いながら一緒に下校したいというわずかな願いも叶いませんでした。

“助け合い”という言葉に縛られ(一方的に私が助けるだけでしたが)、「A君もクラスメイトなんだから、本城が我慢するのが優しさで思いやりだと先生は思う。A君だって困ってるんだから」と教師に刷り込まれ、暗黒の3年間を送りました。

一度は「給食を友達と食べたい」「下校は仲良しの友達と帰りたい」と訴えましたが、教師から「A君は友達じゃないとでも言うの?A君が可哀想だと思わないの?本城は優しさが足りないね」と詰め寄られ、何も言えなくなりました。

今なら声を出して言えます。

「クラスメイト全員が友達なわけあるか」と。

修学旅行がどうなるのか考えなくてもわかります。自由行動はA君と一緒、バスはもちろん隣り、寝る時以外は常に金魚のフン行動を求められることが・・・。

ハンガーストライキと登校拒否を続け、修学旅行参加を断固拒否した結果、ようやく仲良しグループでの自由行動と旅行中のお世話係免除を勝ち取り(A君には加配の教員が付きっきり)、最後の思い出を作ることができました。

が、根本的にコレ何だかオカシイと思いませんか?

  • 特定の誰かにだけお世話をお願いすること。
  • 公的でも暗黙の了解でも押し付けられた子供に拒否権はないこと。
  • 拒否しようものなら「優しくない」だの「友達思いじゃない」だの「〇〇君(〇〇さん)が可哀想じゃないか」だの語彙力の乏しい子供が絶対に反論できないようにやり込めること。<多分教師側は教育的指導と思っている>
  • 加配の教員が付きっきりで見守っていないと何をするかわからないほどの問題を抱える児童を特定の一人に丸投げでお世話させてきたこと。

卒業式の時にその教師は「A君のおかげでクラスに優しさが生まれ、まとまりのあるクラスになりました」などと宣いましたが、実態は私と一緒にお世話係を押し付けられたもう一人のクラスメイトは完全不登校になり転校、他のクラスメイトは私を遠巻き。「本城さん誘っても本城さんはA君の面倒見なきゃいけないからねー」と何にも誘ってもらえなくなりました。

学年が上がるたびにA君の保護者から「本城さんと同じクラスに」「本城さんと隣り同士に」と学校に配慮願いがあったそうで、小学生の私の逃げ場はどこにもありませんでした。

このままだと私の中学生活も暗黒の3年間になる!と考えた私は親に頼み込み、中学受験をして地元から離れました。男子児童のA君のご両親がどんなに頑張っても絶対に追って来られない“女子校”に。

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