組織内パワハラ【2】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです

今回はパワハラから自分を守るために知っておきたい知識や対策についてお話しします。

大きく4つあります。

①過剰適応しない
ここでいう過剰適応とは自分を抑え込み、押し殺して相手や環境に必要以上に無理して合わせようとする状態の心理学用語です。

パワハラ(モラハラも)が常態化していくと、ほとんどのパワハラ被害者は無意識に過剰適応しています。自分の意見が言えない、自分より他者を(他者の気持ちを)優先しがち、理不尽で無理な要求にも応えてしまう(応えようとしてしまうも含む)、責任感が強すぎる傾向にある人は注意が必要です。

最初は何ともなくても、そもそも適応が“過ぎる”のが過剰ですから、メンタルには過大な負担がかかっています。ここぞという時に、自分を奮い立たせ頑張るのは構いませんが、毎日がここぞ状態で過剰適応して頑張り続けるのは、心身ともにとても苦しいものです。それは、ある意味不健康です。メンタルバランスを崩し、鬱になる可能性も高くなります。自分が過剰適応していないかをセルフチェックしてみるクセをつけましょう。

※過剰適応については、後日またお話ししようと思います。

②記録を録る
会社のコンプライアンス部門や外部機関に相談するにせよ、いざとなった時に診断書を取るためにも、“被害の証拠”となる記録が役に立ちます。日記のように記録しても構わないのですが、下記の項目を記録してほしいと思います。

○いつ
○どこで
○誰に
○どのようなことを言われたのか(されたのか)
○見ていた(聞いていた)人はいるのか

今はスマホもありますし、より鮮明に長時間録音できるボイスレコーダーもあるので、そのような物を活用し、言い逃れできないように証拠を記録しておきましょう。多くのパワハラは暴言など言葉でおこなわれることが多く、カタチとして残らないため、いかようにも言い逃れができるからです。どれだけ立場が上であっても、他者の尊厳を傷つけたり、人格を否定してよい免罪符にはなりません。
③アサーティブとは何かを知り、アサーションスキルを身につける
このアサーティブとは何かについては、過去のコラムを参照してください。
アサーション:自己表現
連載:アサーション【導入】
連載:アサーション【1】
連載:アサーション【2】
連載:アサーション【3】
連載:アサーション【4】
アサーションのさまざまな手法【1】
アサーションのさまざまな手法【2】
アサーションのさまざまな手法【3】
④第三者に相談する/第三者を交えて話し合う
組織の中でパワハラ被害に遭った場合、一人で立ち向かうのはお勧めできません。信頼できる同僚、先輩、上司はいませんか?会社にコンプライアンスを取り扱う部署はありませんか?
信頼できる人がいない、コンプライアンス部門がない場合は、自分の心身を守るために転職や異動など環境そのものを変える、あるいは外部の専門家のカウンセリングを受け、メンタルのダメージを少しでも緩和するなどし、一人で悩み、抱え込まない環境を用意することもよいかもしれません。根本的な解決にならなくとも、その方法を見い出すまでの対処法としては有効かもしれません。

パワハラ、モラハラ(DV)被害者になると、心は深く傷つき、疲れ果てています。鬱状態、希死念慮、フラッシュバック、トラウマによる社会不安や人間不信など、ハラスメントは大きな傷痕を残します。

その時は是非、迷わず専門家によるケアを受けてください。一人で我慢して抱え込んだり、一人で頑張って回復を目指さなくてよいのです。

あなたが これからも 一度きりの大切な人生を 歩むためにも。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

他者に必要とされる必要

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

突然何やらこんがらがりそうなタイトルですが・・・今回はまたしても【共依存】についてお話ししようと思います。

このコラムでも以前に自己肯定感・自己有用性・承認欲求については書いています。

今回の“他者に必要とされる必要”ですが、一歩間違うと底なし沼に足を踏み入れたかのようなズブズブな共依存を生み出す、ということをお話しします。

ご主人(奥さん)にモラハラを繰り返され、心身ズタボロに傷つけられても「あんな人(妻)だけど、あの人(彼女)をわかってあげられるのはワタシしかいないから」と側を離れない奥さん(ご主人)。アルコールで他者に迷惑をかけたり、警察沙汰にまでなっているのに「彼(彼女)はワタシ(オレ)を必要としているから」と別れないカップル。「いつまでも子供で、ワタシがいないとダメなんですよ、ウチの息子(娘)」と50歳を超えた中年息子(娘)に目を細める年老いた母親(父親)。

同じ構図です。どんなにズタボロに傷ついても、ご主人(奥さん)に必要とされていることで、自分の価値を見出そうとする奥さん(ご主人)。自分が彼(彼女)の支えにならなければ、に見せかけて、彼(彼女)から必要とされることで自分を保ち、自己肯定感を上げようとするパートナー。「困った、困った」と言いながら世話を焼き、50歳の中年息子(娘)から離れられなくしている(無意識)母親(父親)。

  • 必要とされたい。
  • 必要とされなければ、自分で自分を肯定的に認めることができない。
  • 必要とされることでのみ、自己有用感や承認欲求が満たされ満足する。
  • 必要とされなければ、自分を価値がない人間だと思い込む。

共依存とは歪な支配関係だと以前お話ししました。

また、相手を過剰にサポートし相手の言うことを聞き、言いなりになる側を“共依存”イネイブラーと呼びます。イネイブラーの心理には特徴があります。

不安が強く自己肯定感が低い。自己の過小評価により他者に認められることでしか満足を得られず、好意を繋ぎ止めようと必死になり、自己犠牲を伴い、献身的に支えようとする。

自分にポジティブなこと(自己有用感や承認欲求を満たされる“満足感”)を与えてくれる人に嫌われないように、過剰に献身的になるのです。

一見、イネイブラー(過剰支援する側)が支配されているように見えますが、被共依存者(前記だとモラハラなご主人(奥さん)、アルコール依存のパートナー、中年息子(娘)溺愛で世話焼きの母親(父親))は献身的に支えるイネイブラーがいなければ、生きられなくなってしまい、結果、被共依存者もイネイブラーに依存していくことになります。

イネイブラーが先回りして過度な支援をし助けるため、被共依存者は居心地がよく、問題解決に向かうどころか望まない行動が続いたり、増加していく傾向があります。

共存は共に助け合い、支え合う健全な関係ですが、共依存は歪で病的な関係です。

自分と他者との関わり、関係性を一歩退いたところから眺め、【共依存になっていないか】を確認してみるのもよいでしょう。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

集団心理【2】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

前回、群衆心理についてお話ししました。2回目となる今回は、組織で当たり前のようにパワハラ・モラハラが横行し、メンタルを病む人が増加の一途を辿り、痛ましいいじめが原因で自殺も後を絶たないことから、パワハラ・モラハラ、いじめ問題を群衆心理から考えてみようと思います。

いじめ問題というと子供の間のこととイメージされやすいですが、2019年秋に神戸の小学校で教員が教員をいじめるという事件が起きています。

パワハラやモラハラ、嫌がらせやいじめを目にしても、

「いい加減にすればいいのに」

「誰も止めないの?」

「さすがにやり過ぎじゃないか」

と思っても誰も止めず、なるべくなら関わらないように見て見ぬフリをする・・・通りすがりの道端でなくても学校や組織でもよくあることではないでしょうか。

関わることで自分にとばっちりが来たり、巻き込まれて面倒なことになるのを避けるために無視する(見なかったことにする)、これは自分の身を守るための合理的な行動で、心理学ではそれを【傍観者効果】と言います。

わかりやすく説明すると、事故や事件、災害や傷病者がいるなど何らかのトラブルがある状況において、自分以外にも多くの他者がいる時に自分からは積極的に行動を起こさなくなることを傍観者効果と言います。

傍観者効果が起こるにはいくつかの原因があります。

○責任の希薄、分散化

人は集団の中の一人になることで、一人の時より自分の責任が多数に分散され軽くなります。責任が分散されることで、自分からは行動を起こしにくくなったり、責任感を感じにくくなるのです。

また見て見ぬフリをしている人がいる状況では「自分だけが見て見ぬフリをしているわけではない」と自らを正当化することで、自分が何も行動を起こさなかった罪悪感や、ひょっとしたら向けられるかもしれない非難を意図的に軽減しようとする無意識な心理も働きます。

○無知の多元化

自分以外の多くの他者が積極的行動を起こしていないことから、目の前にあるトラブルは早急に対処するような問題でもないと考えてしまいます。パワハラや嫌がらせ、いじめに遭っている人がいても、皆が見て見ぬフリをしているのを見ると「別に自分がわざわざ上(あるいは先生)に報告しなくてもいっか」「きっと誰かが報告してくれるんじゃないか」と他の人の行動を見て判断してしまったりもします。

○評価懸念

自分以外は様子見をしたり見て見ぬフリをしている中で、もし自分が積極的に行動したことを他者に否定的に捉えられたら(いい格好しやがって/偽善者ぶっちゃって/次のターゲットはアイツだな)、という恐れや不安のことを言います。

良かれと思っての行動を『面倒なヤツだ』などとマイナス評価されるのを恐れることが評価懸念です。評価懸念は群衆心理で群衆抑制とも言われます。

面倒なことになるかもしれない(ならないかもしれないけど)ことにはなるべく関わらない、自分自身や家族を守るために必要な時もありますよね。気ままな一人暮らしではなく、守らなくてはいけない子供もいるので当然ですが私にもあります。

群衆心理や傍観者効果という言葉があり、それにはどんな意味があり何が原因になっているのかということをお話ししたかったので、“見て見ぬフリ”は良くない、やめるべきだ、という話ではありません。

私たち一人ひとりには生活があります。職場において孤立しかねないリスクを自ら背負い、大切な生活に悪影響が出る可能性があることは誰でもしたくありません。見て見ぬフリも大切とは言いませんが、仕方ない時もあります。そこで自分のこととして何を思うか、考えるか・・・それが大切な気がします。無関心や他人事として思考停止にならないようにしたいものです。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

隠れハラスメントも、立派なハラスメント

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

社会にはさまざまなハラスメント(嫌がらせ)が蔓延しています。

セクハラにパワハラ、マタハラなど、これらは専ら職場で起こりやすいハラスメントで、モラハラは職場はもちろん、夫婦間やパートナー関係で、ドクハラは医療機関で起こり、社会問題にもなり始めました。最近はスメルハラスメントという言葉もあるようです。確かにニオイというのはデリケートな問題であると同時に『香害』という言葉もあるくらいですから、他者に不快感を与えるには十分で、これも現代社会が抱える問題だと言えます。

その中でも今回は一番身近にあるモラルハラスメント(モラハラ)についてお話してみようと思います。

このモラハラ、男性だけが加害者と思われがちですが、夫婦間やパートナー関係において女性もモラハラ加害者になっているケースが多くあることをご存知ですか?

無理難題の押し付け、思い通りにならない(あるいは思い通りの反応ではない)、自分が納得いかないとヒステリー(時に暴言暴力)・・・無意識に自分がモラハラ加害者になっているかもしれないのです。もはや性分では済まされない時代になってきました。

▶︎ モラハラ加害者になりやすい人には、いくつかの特徴があります。

【プライドが高い】誰もが持っているプライドですが、そのプライドの持ち方が特徴的です。自分は正しい!という尊大な気持ちが強く、他者を認めることができないことで歪んだプライドの高さとして表れる。

【自己評価が異常に高い】プライドの高さにも言えることですが、他者評価と自己評価に温度差があり、普段の、または踏み込んだ関係になると自分上げ他者下げ(「仕事頑張ったら主任になったよ!」に対し「へぇ、私だって仕事頑張ったから昇進して臨時ボーナスまで出ちゃったよ!」)がナチュラルに出る。

【認知が独特且つ客観性に乏しい】物事には両面あるように、二者間にはそれぞれの違った思いや考え方があることは当たり前ですが、モラハラ気質の人は自分視点で、しかもそれは“みんなそうだ(だと思っている)”と考え、自分は正しい、だから自分の考えに従わせようとする。

まとめると、

思い込みが強くプライドが高い、自分至上主義で尊大、支配的。思い通りにならないとヒステリーに暴言暴力。

中には気質的に攻撃性の高い人もいますし、間違った正義を振りかざす結果、モラハラ化してしまっている人もいますが、正義≠王道です。

モラハラの根底にあるのがパーソナリティー障害、発達障害であるケースも増えており、モラハラ → DVとステージアップし、ズブズブな共依存になっているケースも多く見てきました。

大切な人を無意識にボロボロに傷つけてしまうモラハラ、無意識にモラハラ加害者になってしまわないために、心掛けていくと効果的な自分の認知確認があります。それは、

自分の考えを常に“疑ってみる”

こうすることで客観性を持たせることができます。

例えば『待ち合わせには絶対に遅れてはいけない、だから5分前には着くように行くべきだ』と考えるAさんがいるとしましょう。この考え自体は決して間違いではないし、むしろ心掛けとしては良いと言えます。

でも、それは飽くまでもAさんの考え方であり、Bさん、Cさんはまた違う考え方をしているかもしれません。

Bさんは『待ち合わせ時間ジャストに待ち合わせ場所にいればいいと思う。だって早いと相手に気を遣わせてしまうと思うから』。Cさんは『今は携帯でやり取りできるんだから、待ち合わせ時間なんて堅苦しく考えなくてもいいんじゃない?いちいち遅刻だ何だって面倒』という考え方かもしれません。

この、“自分以外は同じ考えではないかもしれない”が客観を持つポイントになります。程度の差こそあれ『自分は間違っていない、自分が正しい』と思い込む人は一定数います。その“自分の考え”や“思い”を一歩退いて眺め、『自分は◯◯と思うけど、他の人は違う考えを持っているかもしれない』と疑問を持ち意識すること、これが大切です。

自分視点だけでなく、他者視点でも物事を考えられるクセを持つこと。

これが客観性を身につけていくコツで、これで完全にモラハラ気質が治まるわけではありませんが『自分が正しい、だから言うことを聞け(聞くべき)!』ということを意識的にストップさせることは可能です。

失いたくない大切な人、愛する人が心をすり減らし、心の免疫力を低下させてしまわないように、自分の認知を客観的に観るクセを身につけていきたいものですね。