生きづらさ/アタッチメント不全【3】愛着スタイル回避型

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

アタッチメント不全の中で回避型と言われる愛着スタイルについてお話しして、今回の『生きずらさ/アタッチメント不全』の連載を終わりにします。

自己開示が苦手で誰といても自分をさらけ出して寛げず(緊張状態にある)、人間関係の中で責任を求められたり自分に踏み込まれることを嫌う回避型は、他者に甘えたり頼る(助けてもらう/支えてもらう)ことが苦手です。

幼少期から親に甘えることができず、自分という存在を無条件に認められてこなかった経験が「人はアテに出来ない」「わかってもらえないものだ」「弱みを見せたらダメだ」「信じても裏切られる」というベースを作り上げます。

トラブルに巻き込まれたり問題が発生がしても、自分一人で何とかしようとし他者に頼れません。頑張れば自分一人で解決できることならよいのですが、社会に出ればそうそう上手くもいかないものです。「ひと言相談してくれれば」と周りが思っていても、頼り方や甘え方がわかりません。一人で抱え込もうとするので、当然自分を追い詰めやすくなります。気持ちを擦り減らし苦しみの限界まで耐えて、心がポッキリ折れてしまうか、折れそうになり自分を守るために逃げ出します。

回避型は一見クールに見えるため、頑張って踏ん張っていても周りからはそうは見られません。問題を自分だけの真ん中に置きSOSを出せず、気持ちが折れる前に体に不調(頭痛、吐き気、目眩、胃痛など)として表れます。

安定したアタッチメントスタイル持つ人は、吐き出したい苦しいことがあったりトラブルになると、身近な信頼の置ける人に話を聞いてもらったり、吐き出したくなることで関わりを持とうとするものですが、回避型の人は反対に益々一人になりたがる傾向にあります。

自己開示が苦手であることも、幼少期に親から自分のありのままを受け入れられ尊重されず、否定/支配されてきた結果です。感情を表現することで否定、意思を認められず抑圧され支配される。いつも否定ばかりされると、誰でも自由に感情を表現したり意思表示したくても怖くてできなくなりますよね。自分の意思など気にしてもらえず、支配され抑圧される毎日を過ごしてきたとしたら、自己開示なんかしたくなくなりませんか?

私も子を持つ一人の母親ですから、生活する中で中3のクソガキ(笑)とは日常的にぶつかり合いが起こります。最近は血の雨こそ降りませんが真面目に腹が立ちます(笑)

でも息子が反抗できること、それが間違いであったとしても自分の意思や感情を表に出すことができるような環境を整えられたこと、気持ちが落ち込んだり何かあっても辛い時には「ちょっと話聞いてほしいんだけど」と私を頼れること、そう考えるとアタッチメント成功だと思っています。

「君は日本一のクソガキだと思うけど、何があっても私は君の味方だし何かあれば絶対に力になるから安心してね」そう伝え続けてきて今があります。

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生きづらさ/アタッチメント不全【2】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

前回アタッチメント不全は人間関係に影響を及ぼすという話をしました。

不安定なアタッチメントは、社会生活を送りながら広がっていく人間関係すべてに表れます。ある時は表面だけの付き合いで、顔を合わさなくなれば縁遠くなって交友関係が終わってしまう。学校や職場でも同じで、親しくしていてもその場だけ、プライベートに踏み込んだ深い付き合いや関わり合いを避ける。また、反対に依存傾向が強くなり、程よい距離で信頼に裏打ちされた人間関係を構築できず苦しみます。

自分はダメな人間だからどうなってもいい、いなくなりたいと思う。人を信じることができない、そもそも信じるということがどういうことかわからない。自分の味方でいようとしてくれる人に対して攻撃的な気持ちを持ってしまう(攻撃的な言動をとる)、思い出したくない過去がある、生活していて現実感がないと感じる時がある、上手く人に感情を出せない・・・これらはアタッチメント不全からくる複雑性PTSDかもしれません。

他者と気持ちを通わせることができない、信じたいのに信じることができない孤独は本当に辛いと思います。

身近な養育者から関心を向けてもらえないことや、虐待や否定ばかりで精神的に抑圧され続けると、認めてもらいたい、愛してほしい気持ちや自分に目を向けてほしい気持ちから気に入られる良い子でいよう、いなくてはと思うようになります。

養育者の機嫌を伺い、表情を読み、否定拒絶されないように取り繕って振る舞うことを繰り返す中で、他者に対しても本当に気を許すことができず、信頼して感情を出すことに不安が強く、不信や恐怖を感じるようになるのです。

必要以上に空気を読み、「こう言えば相手を喜ばせることができる」「こう言えば自分をこう見てもらえる」と自分の感情より周りにどう映るのかばかりをいつも意識していると、本当の自分の気持ちをわからなくなり、自分を見失ってしまうのです。

上手く信頼関係を築くことができないので、自分を支えようとしてくれる支援者や理解者(パートナーも含む)に対し、無意識のうちに「この人は本当に自分を理解してくれようとしているのか/理解しているのか」を歪な形の試し行為で確認しようとし、結果怒りを買ったり呆れられて人が離れていってしまい、離れていったことに「やっぱりわかってもらえなかった」「人は裏切るものなんだ」「人は信じられない」と深く傷つきます。

ここで愛着スタイルの違いについて説明しようと思います。

アタッチメント不全は不安定なアタッチメントが問題ですが、不安定なアタッチメントには2つの愛着スタイルがあります。

不安型と回避型です。

不安型と回避型では内面はともかく、ストレス下では違った表れ方をします。

対人関係でのトラブルも、一見クールで冷めたような対応でほとんど表情を変えない回避型に比べ、不安型は見捨てられ不安からしがみ付いたり、取り乱して抵抗します。見捨てられ不安が強く不安定な人間関係しか築けず、身勝手に映る場面が多い不安型は、パーソナリティ障害の境界例と酷似しています。

トラブルがあっても周りに人がいても相談できず、じっと一人で抱え込み、耐えるのが回避型。誰かれ構わず巻き込み、甘えられる人には甘えようとするのが不安型です。

HSPの特徴と被る部分もありますが、他者の顔色や気持ちの変化に敏感で、気に入られようと必要以上に空気を読む人もいれば、対人関係に冷めた気持ちでクールに見える(何を考えているのかわからない、と言われるようです)人もいるので、根底に横たわる問題がアタッチメント不全であっても表れ方は十人十色、100人いれば100通りです。

次回、少し回避型の特徴を掘り下げてアタッチメント不全の話は終わりにします。

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