セルフモニタリングと認知【2】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

心理学におけるセルフモニタリングでは、主に思考(捉え方、受け取り方)/感情や行動を観察していきますが、今回は思考=認知(捉え方、受け取り方)について考えていきます。

①起こった出来事、感情が動いた場面。

②その時に浮かんだ思考/どう受け取ったか捉えたか。

③結果、どのような感情が生まれたか。

④どう行動したか。

この中で②を重点的に観察します。

②ではさまざまな場面で自身の“考え方や捉え方のクセ”が表れます。繰り返し繰り返し観察し、自分の思考や捉え方のクセを見つけます。「私にはそんなクセないよ」と思う人、観察が足りません(笑)

何度も繰り返す中で、自分の思考のクセが感情にどのように影響するのかも見えてきます。感情に悪影響を及ぼすようなら、その思考/捉え方に修正を加えることを検討し、思考/受け取り方・捉え方を変化させていきます。

今回は、強いエネルギーを持つ“怒り”の感情にフォーカスし、“感情”が生まれる前にどのような思考/捉え方のクセがあったのか、例を出しながら考えてみましょう。

「理不尽な目にあった」などはわかりやすく、自分の怒りに気づくことができますが、自分の感情を観察できていないと気づかずに怒っていることがあります。不快→(知らぬ間に)怒りになった場合などがそれに当たります。

理由もなくプンプンしている人はいないと思います。

わかりやすいところでは、足を踏まれた/ぶつかられた/悪口を言われたなどでしょう。日常的に起こりやすい場面だと、気遣ってもらえなかった、頼み事を聞いてもらえなかった、自分の意見に反対された、約束を破られた、無視された、わかってもえなかった、あたりでしょうか。

<例>

❶【出来事】
インフルエンザで体調が悪くて寝ているのに、パートナーが子供の世話や家事を何ひとつやってくれない。

❷【思考/捉え方】
見たらわかるんだから、フツーはやってくれるよね!?/こんな時くらい家事やるべき!(頭に浮かんだ思考)

❸【感情】
怒り。

これを

❷【思考/捉え方】 毎日遅いのに今日は自分がインフルエンザだから早く帰って来てくれた。

と思考を変化させると、

❸【感情】 あまり怒りは生まれない。

<例>

❶【出来事】
出張から戻ったら、何より先に自分に商談内容を伝えるように言ってあるのに、今日は顔を見せてもそれすらない。

❷【浮かんだ考え/思考】
何で約束を守らなんだ!仕事やる気あるのか?ダメなヤツだ!!

❸【感情】
イライラ!!怒り。

これを

❷【浮かんだ考え/思考】いつもは真っ先に報告に来るのに、今日に限って報告に来ないとは何かトラブルがあったのかもしれない。ひょっとしてその対応を先に考えていたのかも。

と捉え方を変えると、

❸【感情】モヤモヤはするが怒りは生まれない。

怒りの感情が湧き上がった時に、自分の思考の中に「〜べき」が隠れていないか観察してみてください。

これから年末年始に突入します。イライラしやすい時期ですが、怒らず穏やかに過ごしたいものですね。それではよいお年を。

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※本年のコラム掲載は本日25日で終了です。本年もお読みいただき、ありがとうございました。来年は1月10日水曜日から掲載し、その後は5の倍数日に掲載してまいります。来年もよろしくお願いいたします。

セルフモニタリングと認知【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

セルフモニタリング

心理学/精神科領域でよく使われる言葉ですが、最近はビジネスセミナーやコーチングでも頻繁に使われるようになってきたので、耳にしたことがある人も多いかもしれません。

人間関係はもちろん、日々さまざまなストレスに晒され心身が疲弊しがちな現代人。

ストレスコーピングをはじめ、さまざまな感情マネジメントやコミュニケーションスキルが求められます。

セルフモニタリングとはその名のとおり、“自分の状態を観察する”です。

例えば、

●寒気がして頭痛がする(風邪のひき始めかな?)→温かいものを食べて早めに寝よう。●明日午後イチ提出の資料が仕上がらない→●今日残業して、明日朝早めに出社して仕上げよう・・・のように、私たちは日常的にセルフモニタリングをし対応しています。自分の今の状態(状況)がわかっていることで対応できるわけです。

自分の身体状態、自分の置かれた状況を把握できるからこそ、適切な対応が取れるのです。

これはメンタルでも同じです。

自分の心の状態、今の感情、考え方や受け取り方のクセ、それらを把握しておく。

具体的には“怒り”を感じた時に怒りを治めるためにはまず、『自分は怒っているんだ』と感情に目に向けること。アンガーマネジメントはそこからスタートします。

考えのクセを直すには“自分にある考え方のクセ”や“思い込み”を理解し把握しておくことが大切です。

以前にも平たく言えば“考え方”“受け取り方”を認知という話をしました。認知は意識的に自分の感情に目を向けることで気づくことができます。人は案外、自分の考え方のクセには気づきにくいものなので、繰り返し繰り返し観察してみてください。そこに必ず考え方のクセや思い込みがあるはずです。

  • 「子供は親の言うことを聞くべきだ」
  • 「子供は親の言うことを聞かなくてはならない」
  • 「子供は親の言うことを聞くものだ」

どれも表現は違いますが、どこに考え方のクセや思い込みがあるかおわかりでしょうか。

次回は、実際に認知〜感情〜行動をモニタリングしながら、この3つがどのように影響し合い、また周囲に影響を及ぼすのかを分析し考えていきます。

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本年のコラムは12月25日月曜日までです。