全5回:感情と表現【3】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

前回【2】に続き感情と表現で、感情は認知(受け取り方)によって引き起こされるので、それをどう気づき、どのように改善していけばいいのかを考えていきましょう。

まずABC分析について説明します。

A(Activathing event)
キッカケとなる出来事で、実際に私たちが現実で直面する不快な状況のこと。

B(Belie)
キッカケとなった『A』に関する自分への語りかけ(自己内対話・セルフトークステートメント)。

C(Consequence)
感情、行動両方の結果のこと。これには不安、怒り、絶望などの不快感情の表出や、実際に起こした行動が含まれる。

ほとんどの場合、私たち自身が持つ思い込みや自動思考(アンコンシャスバイアス)、セルフトークステートメントが、実生活で起こるさまざまな出来事や状況が引き起こす感情を混乱させる原因になっています。

かなり極端な例ですが、連絡が取れないことやメールばかりしている夫の浮気を疑った妻サイドに立って、『A』(不快な出来事)、『B』(セルフトークステートメント・思い込み)、『C』(行動)分析をおこなってみましょう(笑)

妻:最近帰りが遅いね、連絡取れないし、一体どこで   何してるの?

夫:なに言ってるんだよ、社員が一人辞めたから仕事   が増えると話したろ?

妻:(B・セルフトークステートメント真っ最中)
<そうは言っても連絡取れないのは浮気しているに違いない、しょっちゅうメールやり取りしてるし>

妻:(C・実際の返し)そんなの知らない!それに最   近冷たいじゃない!もういい!!

(勢いよくドアをバターン!)

『C』という結果(行動)を起こすまでに、『B』が大きく関わっていますよね。

浮気を疑い『A』(不快・不信)、夫に問い詰め返事が返ってきて『B』(セルフトークステートメント)開始、モヤモヤ炸裂でぶちギレた結果、『C』という行動になりました。

このセルフトークステートメントに何が隠れているのか、皆さんはお気づきでしょうか。

そう、連絡が取れない、メールばかりしている・・・これは浮気をしているに違いない!という思い込みの罠に嵌っています。これをどう修正すれば『C』という行動にならなかったのでしょうか。

ポイントは『B』部分にあります。

<連絡が取れない> ➡︎『仕事中は連絡が取れないこともあるかもしれない』

<メールばかりしている>➡︎『仕事のメールかもしれない』『それだけで浮気を疑うのはやり過ぎかもしれない』

このように考え方を少し変えてみるのです。

“ラッシュの車内で思いっきり足を踏まれた”を例に、皆さんでABC分析をやってみてください(笑)

この『A』部分、キッカケになる出来事は思考を刺激し、セルフトークステートメントを呼び起こします。具体的には挫折や逆境、ストレスなどです。また、これらは過去〜現在〜(予測される)未来にわたり、それは現実のこともあれば、ただの想像であったりもしますし、実際に起こった悪い出来事であったり、実現しなければよかった失望であったりします。

前回情動知能についてお話しましたが、幸せでよりよく生きていくためには、一般的な知能より、この情動知能が大きく関わってきます。情動知能は遺伝ではなく、取得していくものなので向上させることも可能です。

認知療法は、誰にでもある無意識の思い込みやアンコンシャスバイアスに自分自身で気づき、修正を加えていけるようになることを目指します。また論理療法では生活の三分野、論理面・情動面・行動面を改善していくことにフォーカスします。

論理面とは【思考】【推理】【認識】、情動面とは【感情】【気分】、行動面とは【振る舞い】【動作】ということになります。

次回(20日)は“不思議な感情を生む危ない連鎖”についてお話していきます。

全5回:感情と表現【2】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

【1】に続き感情マネジメントについてですが、【2】では

感情とストレス

についてお話します。

まず前回の終わりに

感情とはいったいどこから来ると思いますか?

という質問があったと思います。

感情を引き起こし影響を与えているのは、脳の原始的中枢の、とある部分です。そこは言語を使うことでもっと高等な脳中枢部の影響を受け、支配されています。

私たち人間の感情と行動は、思考と起こった出来事をどのように受け取り、評価するかの影響によって生まれていると考えられています。

よく言われる「お父さんに似て短気だよね」という遺伝的要因は、その人の性格傾向に多少の影響を与えますが、実際はほんのわずかです。『ウチの家系はみんな爪の形が丸い』とはまったく違うのです。

次に感情がストレスを生み、健康に及ぼす影響についてお話します。

誰にでもあるストレスですが、同じ事が起こってもある人にはストレス、他の人にはストレスにならないことがあります。

なぜそのようなことが起こるのでしょうか?

それは不快な出来事をその人自身がどう解釈、評価するのかによって心が動揺するかどうか、またその動揺の振れ幅で決まるからです。ストレスの原因となる不快な感情を例にとり意識的、無意識的両面から、身体にはどのような症状が表れるのかを考えてみましょう。

無意識に筋肉が緊張し強張ることから、肩凝りや頭痛が引き起こされ、偏頭痛の原因にもなります。不快感情である怒りや恐怖は、血圧の上昇と同時に血栓を増加させる物質が分泌され血栓ができやすくなります。慢性的な情緒不安定は免疫力を弱めてしまい、風邪をはじめさまざまな感染症を引き起こしやすくなり、湿疹や脱毛も現れることがあります。円形脱毛症はよく耳にすると思います。

ストレス性胃炎があるように、継続した悩みや苦しみを抱え続けることで、胃が刺激され胃酸過多となり胸焼けや胃炎、嘔吐や下痢といった胃腸に症状が現れます。

ストレスは完全になくすことはできませんし、完全になくすことが必ずしも善とは言えません。ただ、気持ちを落ち込ませ、荒ませるストレスは生活の質と仕事のパフォーマンスを低下させてしまうので、ストレスを生んでしまう自分の感情を理解し、コントロールできないと健康面だけでなく、家庭、社会生活へのモチベーションが下がり、やる気がなくなり無気力無関心、抜け殻のようになってしまいます。

自分の感情を理解し、コントロールできないことで、自分自身の健康だけでなく、人間関係や目標達成などクオリティ・オブ・ライフに知らず知らずのうちに影響を及ぼしかねないのです。

こうして考えていくと、そうならないためには、メンタルにおける健康をいかに意識し維持していくかがポイントとなると言えます。

次回(15日)は、感情と行動を振り返り改善していく方法を、認知療法や論理療法(REBT)を交えながら思考、感情、行動をABC分析してみましょう。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

全5回:感情と表現【1】

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

2月になりましたね。今月は連載企画として円滑な人間関係に必須である

感情マネジメント

についてお話しようと思います。

【1】では、感情を分析しながら

情動知能』と『その働き』

についてお話します。

感情とは・・・

精神的・肉体的・行動的

要素が入り組んだ気持ちのことです。

『精神的』には自らの感情を快・不快として感じますよね。

『肉体的』には感知する、緊張するといった形で体験するでしょう。

『行動的』には衝動的な行動を取ることで気持ちや感情を表出します。海で大声で叫ぶなど(笑)

私たち人間の持つ4つの基本的感情は

【怒り】【恐怖】【悲しみ】【楽しみ】

で、怒りとは強い不快感と敵意の感情です。皆さんは情動知能という言葉を聞いたことがありますか?

情動知能とは『人間の感情を理解しコントロールできる能力』のことで、いくら良い教育を受け知的に高くても、激しい感情を自己コントロールできなければ、残念ながら情動知能が高いとは言えません。知能に差があるように、情動知能にも大きな個人差があるのです。

情動知能には

1)自らの感情を知る。
2)自らの感情をコントロールする。
3)他者の感情を認識する。
4)人間関係を上手にする。
5)目標達成のために自らを動機づけていく。

という能力があります。

1)自らの感情を知る:自己内面にある感情を理解し、その感情の生を言えること。

2)自らの感情をコントロールする:自らの感情や無意識に出てくる思考(自動思考)を認識することで、

  • 動揺したら自分を鎮め、落ち着かせる。
  • 自己コントロールをする。
  • 怒りをコントロールする。
  • 情動をコントロールする。
  • 適切な時と場所で自らの感情を表現する。
  • 不安や怒り、鬱を長引かせない。
  • 避けられない失敗や挫折を上手く乗り越える。
  • ネガティブな感情が自分の判断力や問題解決の妨げにならないようにする。
  • 欲求不満に耐える。
  • 自らを認め、受け入れ、大切にする。

3)他者の感情を認識する:他者の感じていることや他者の意図を読み取り理解する能力のこと。

4)人間関係を上手にする:人間関係をスムーズにこなし、他者と上手に関わっていける人は、言いなりになるだけでなく、適切な自己表現ができる人と言えます。

対立や拗れが生まれた時でも、交渉を通し解決策を模索、導き出すことで対応が難しい相手にも対処できます。アルスの法則、メディエーターも参照。

5)目標達成のために自らを動機づけていく:計画性、忍耐力、欲求不満に耐えられる、衝動的な行動を抑えられる、楽しみを先延ばしにできる、挫折や失敗からリカバーできる、などが含まれています。

情動知能について理解できたところで、ひとつ質問です。

感情とはいったいどこからくると思いますか?

次回(10日)はそこからスタートし、感情と行動のABCについて学んでみましょう。

全3回:息子を例に発達障害を考える【3】

⚠︎:発達障害は先天的な脳の発達の偏りなので、親の躾や環境、また、本人のせいでもありません。発達障害をややこしくしているのは、無理解、無知からくる不適切な対応などでさまざまな神経症や精神疾患を併発したことによる二次障害といえます。

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

最終回の【3】では、軽く視知覚認知機能や視空間認知機能に触れながら、それらの弱さからくる困り感を、日常起こりやすい事例を交えながらお話します。

彼らは無意識に物を置きますが、次々に物を重ね置き、無秩序にあちこち置くので、下にあった物が埋もれ見えなくなります。

その見えなくなった物は【ない】もしくは【失くなった】になります。

例えば消しゴムの上にポイッと請求書、その上に読みかけの本、その上に脱いだ服といった具合です。こうなると、消しゴムはもちろん、請求書も読みかけの本も忘却の彼方へスッポリと抜け去ってしまいます。

ASDは散らかった中から必要な消しゴムをすぐに取り出せても、ADHDは消しゴムを探し出すことはできません。なぜなら『失くなった』(視界から消えた)からです。引っ掻き回して消しゴムを探すうちに、読みかけの本を見つけて読み始め、本来の“消しゴムを探す”目的はスッポリ抜け落ち、これまた忘却の彼方へ・・・。これは『ADHDあるある』のようです。

散らかっているという認識が薄い時は、自分にそのような無意識に思い込みや視知覚認知フィルターがかかっている状態なので、肉眼ではなくデジタルカメラやタブレットで撮影し、それを通して見ることで自分本意な視知覚認知フィルターを外し、多少客観的に見ることができます。画像データを通して客観的視点で見てみる、という感じでしょうか。

頑張って片付けた時に、部屋の全体像や片付けた場所、片付け方を撮り、それを見える場所に貼って見本にしながら片付けるやり方も効果があります。

話は戻りますが、【2】で息子の独特な認知特性が人間関係の躓きを生んでいるという話をしましたが、学習面における困り感の原因のひとつである視知覚認知についてお話します。

視知覚認知機能とは私たちが普段<見える、見えない、目が遠い>と言っている視力のことではなく、

見 る 力 】

のことで、

  • ふたつの目が負担なく機能しているか?
  • 見るものを正しく目で捉えられているか?
  • 目の動きに無理はないか?
  • 目から入った情報を正しく認識、処理、出力(書く、読む、写す、四肢を動かす)できているか?

などの機能です。これに目からの情報を処理して空間全体をイメージする機能、視空間認知が加わります。この視知覚認知機能に不具合があると、

・文字を読むのに時間がかかる。
・字が覚えられない。
・左右認識が苦手。
・探し物を見つけられない。
・長時間集中して作業できない。
・本を読むのに、行を飛ばしたり同じ場所を読む。
・図形理解が苦手。
・板書を写せない。
・ケアレスミスが多い。
・手足の連動を必要とする運動が苦手。
(キャッチボール、自転車、テニス、縄跳びなど)
・手先が不器用で、手先を使う作業が上手くできない。
(折り紙、コンパス、裁縫作業など)
・服のボタンのかけ違いが多い。
・不注意であちこちにぶつけたり挟む。
・よくつまずく。

などといった、ADHDの“不注意”からくる特徴にも被る困り感が表れます。

視覚なのに運動?と思いますよね。視覚と身体感覚には深い関係があり、手足の連動にも大きく関わってくるのです。

また視空間認知は

・形や色の認識。
・形や方向に関係なく同じ形を「同じ」と把握できる。
・対象にするものと背景の区別。
・対象にするものとの距離を測る。

といった機能です。

これに加え、発達障害では発達性協調運動障害というものもあり、微細運動(はみ出さずに塗り絵をする、コンパスを上手に使う、箸を上手く使う)や、粗大運動(スキップや跳び箱、大縄跳び)に問題を持つケースも多く見られます。ザックリ言うと、

とても不器用で大雑把、動作が雑

に見えます。実際息子はしょっちゅう物を落としたり、コップやお椀をひっくり返しますし、一つ一つの動作が雑で、脱いだ衣類をきちんとハンガーに掛けることや畳むことも苦手です。またADHDには脳機能の中にある実行機能と報酬系という部分の機能低下が見られるので、先送りグセやマルチタスクが苦手という特徴で表れます。

実行機能とは、

  • 行動を分析、組み立て、優先順位をつけて遂行する能力。
  • 一時的に記憶を保持しながら他の作業をおこなう(ワーキングメモリー)。
  • 感情がモチベーション、覚醒の自己調整能力。
  • 他者との会話の内在化

です。これらの機能低下で行動制御に不具合が起こり、結果、

何から行動すればよいのかわからなくなり、順序立てた行動が取れず、すぐに取り掛かれない。

記憶(情報)を保持しながら他の作業ができないことで、他に注意が向くと前のことを忘れてしまうといった症状が表れる(消しゴムの例)。

感情のコントロールが難しく、イライラ感を持ちやすく爆発しやすかったり、思ったことをすぐに口に(行動に移す)出してしまうなどの症状としても表れる。

報酬系とは、

満足感、充実感や達成感を得る系で、この働きの低下で充足感が不十分になり、報酬の強化が十分におこなわれず、衝動的な行動や注意を拡散し、気を紛らわせるなどの代償行動として、多動性や不注意が表れる。

この、神経伝達物質ドーパミンとノルアドレナリンが関わる部分に対しては薬物療法が有効とされ、息子も何種類かの薬を服用しています。

これは飽くまでも息子の本人談ですが、薬効について聞き取りをしたところ、服薬するしないでは“集中や衝動性”には自覚できる大きな変化があるそうです。ただ、不注意にはあまり変化がなかったようでした。

主治医の判断と、作用副作用の出現の仕方も個人差が大きく、薬が万能というわけではありません。やはり、どのような薬であっても服用に関しては個々が慎重に考えるべきだと思っていますので、あえて服用中の薬の内容については言及を避けます。

避けたくて避けても生活に影響がない困り感ならば、敢えて避けるというのもライフハックと言えますが、社会生活、日常生活に影響が出やすい困り感には、自分にマッチした対応策があるとQOLにも大きく関わってきます。

そのためには苦手や困り感に目を向け、必要とあらば適切な医療機関の受診、関係機関との連携を取り、自分に合った対応策を考えていく(一緒に考えてもらう)ことが大切だと思っています。

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全3回:息子を例に発達障害を考える【2】

⚠︎:発達障害は先天的な脳の発達の偏りなので、親の躾や環境、また、本人のせいでもありません。発達障害をややこしくしているのは、無理解、無知からくる不適切な対応などでさまざまな神経症や精神疾患を併発したことによる二次障害といえます。

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

【1】に引き続き【2】となる今回は、生きづらさやさまざまな困り感が生活、学校でどのように表れ、その原因は何なのか、どう対応していっているのかをお話していきたいと思います。

息子には小学校高学年から徐々に特徴が表れてきましたが、大きく分けると認知、視知覚認知からで至るところで細々と重なり合った困り感として表れました。

まず認知面ですが、「友達に気に入らないことを強く言われた」と泣いて帰り、時間をかけ聞き取りをしていくと、端々で独特の捉え方をしていることや傷つきやすさを持っていることがわかりました。ASDにありがちな“前後の文脈に関係なく言葉の字面そのものを受け取る”“思い込みが強く修正が利かない”ところからです。

「掃除時間にふざけている人がいたから班長として注意した。そしたら、笑いながら『バッカじゃねーの、うぜー!』と言われた。」「僕は間違ったことはしていないしバカじゃない。お母さんも人にバカなんて言っちゃいけないって僕に言ったよね?僕『バッカじゃねーの』って言われた。とても傷ついた、これはイジメだと思う!」この翌日、登校渋りになりました。

確かに人に向かって「バカ」「うぜー」は意識的にせよ無意識的せよ、どちらでも良くはないと思います。でも、そんなに深く傷つき重たく捉えることなのか?と疑問に思う私がいるのは確かです。

画像はイメージです。

ここは本人の性格だと思いますが、サラッと「ちゃんと掃除やらないといけないよー」ではなく、結構強く言ったらしいのです。クソ真面目で自分なりのマイルール“だけ”は守ろうとし、そこから外れるのはどうにもこうにも認められない、

許せないというASDの特徴と、思ったことを思ったまま後先考えず且つ我慢できず口に出してしまうADHDの衝動性の両方の特徴

が表れています。

小学6年にもなると、言い方やタイミングを考えなければ『いい子ぶりやがって』と受け取られ、「バッカじゃねーの、うぜー!」と反発を喰らうと思います。こんなことばかりが学校生活で起こると、当然クラスメイトからは『面倒なヤツ』と思われ距離を置かれたり、クラスでの居心地が悪くなるのもわかります。

何度「正義が王道とは限らない。いくら正しいことを言っても、タイミングや言い方を間違えば反発を喰らい嫌われてしまう。そうなると自分の居心地も悪くなるんだよ」と話しても、残念ながら今のところまったく入りません。人の間違いに対しては、思ったことを思ったタイミングで言葉を選ばず(選べず)キリッ!と強く指摘し、思ったとおりの反応がなかったり反発されると「傷ついた」「嫌なことを言われた」そして「学校行きたくない」になってしまいます。多い時はこれが毎朝です。

明るく元気で成績も良く、素行にも問題なし、率先して手伝いもするし、できるできないはともかく何事にもクソ真面目に取り組み、困ったらすぐに先生に相談という姿勢は、先生達の評価は高くても、係などに立候補するだけしておいて、その係の仕事はサボり気味(ADHD特有の飽きっぽさ)でペアの児童に負担をかけまくり、そのくせ『すぐに先生に言いつける』『偉そうに注意する』『話をしていると割って入り、話したいことだけ話して人の話は聞かない』、これでは自分勝手極まりなく映るのは当たり前で、クラスメイトには嫌われやすいですし、遠巻きにされます。

これが独特の認知面から人間関係の拗れやぶつかりとして表れました。書き切れないほど多くのエピソードがあり、『そうきたか!』と驚きの日々です。

一度失敗(傷つき体験)すると、似た場面から全力で逃げようとするので(自分の心を守る防御反応でもありますが)、“振り返りからの反省”に上手く結び付けることができません。起こった出来事を繋がりではなく『嫌なことがあった、嫌なことを言われた』の一部だけを取り出し、ネガティブメモリーとして残るからで、これはASD独特の認知特性とも言えます。

それに加えて息子がややこしいのは、

ADHDも重複していることで、起こった出来事の嫌な部分だけは残るのに(ASD)、すぐに忘れて反省できない(ADHD)が重なり、対応がとても取りづらくなっている

のが現実です。

話は逸れますが、【散らかった部屋】を例にASDとADHDの違いを見てみましょう。

ASDには、キチッとラベリングして整然と片付けるタイプと、あちこちに物を置き一見散らかっているように見えるタイプがいるのですが、後者のタイプでも「どこに何があるか」は本人がちゃんと把握しており、片付けをしようと他者が勝手に物を動かすことをとても嫌います。自分なりの使いやすさやルールに則って置いてあるからで、無秩序に見えて実は彼らなりの秩序があるからなのです。

ADHDは、ただただとっ散らかします(笑)まるで、整理整頓という概念が備わっていないかのような無秩序&無秩序な散らかりようで、解決するには究極のミニマリストとして生きるか、自ら暮らしやすいライフハックを身に付けるか、親元で生活するか、お世話が気にならない面倒見のよいパートナーに恵まれるか・・・でないと、“瞬く間に物が消えるのに散らかりまくったカオスな空間”の住人になってしまいます。

なぜ片付けられないのか?は不注意や衝動性だけではなく、視知覚認知も関わってきます。

次の【3】では、軽く視知覚認知、視空間認知についての説明と視知覚認知機能、視空間認知機能がどのような形で日常動作に影響を及ぼし、どのような困り感を生んでいるのかなどをお話します。

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全3回:息子を例に発達障害を考える【1】

⚠︎:発達障害は先天的な脳の発達の偏りなので、親の躾や環境、また、本人のせいでもありません。発達障害をややこしくしているのは、無理解、無知からくる不適切な対応などでさまざまな神経症や精神疾患を併発したことによる二次障害といえます。

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

コラムにも何度か出ていますが、中学1年の息子は発達障害のASD+ADHDの重複ケースです。

今回は息子を例に、ASD、ADHD単体で語られがちな発達障害ですが、発達障害の半数が重複だと言われている中で、重複だとどのようなことが起こってきたのかを、生育歴ベースの【1】、家庭生活・学校生活の【2】、困り感を生んでいる要因の【3】に分けてお話ししようと思います。

2歳前後、クレーン現象(※)と思われる動作やミニカーをやたら並べたがるところから私の違和感が始まりました。息子は普通の保育園、幼稚園ではなく、インターナショナルスクールから集団生活をスタートしてから普通の保育園だったのですが、一度も後追いすることなく、親子とも日本語禁止のかなり特殊な環境からスタートしたにも関わらず、集団生活にもすぐに馴染み、食べ物の好き嫌いはまったくなく、友達関係でトラブルを起こすこともありませんでした。連れ去られるのでは?と思うほど人懐っこく、まったく人見知りしなかったことも違和感でした。

※クレーン現象:子供が何かしてほしい時、相手の手を持って、その何かを達成しようとする動作。

日本語より先に英語が出ましたが、乳児〜追視できるようになってからはベビーサインを使っていたことも理由か、日本語発音は多少遅かったようです。出始めると怒涛の煩しさになりましたが・・・。

生後すぐから4歳になる前までに済ませる数々の健康診査、その度に保健師や小児科医に上手く伝わらない違和感と不器用さを訴えてきましたが、「お母さん気にし過ぎ」「初めてのお子さんだから神経質になってませんか、もっとおおらかにいきましょう」とスルーされてきました。

今思えば、4歳の時点でWPPSI-III(ウィプシ・スリー)をお願いすればよかったと思っています。もちろん就学前検診でも一応訴えてはみたのですが、やはり予想どおりスルーされました。

そして無事に小学校入学、その後転校するもすぐに馴染み、幸い成績もとても良かったこともあり「あの違和感は気のせいだったのか?」と思い始めた3年生の時、私から見える子供の困り感が、家庭より先に学校生活で表れるようになってきました。

まず気付いたのは、並外れた不器用さや動作の雑さ、字の汚さ、服のボタン掛けに時間が掛かり嫌がる、折り紙は角を合わせて上手く折ることができない、線に沿ってハサミで切れない、糊が手につく(手が汚れる)ことを異常に嫌がる、蝶結びができない、ランドセルの中が常にカオス・・・でした。

2年生までは時間割を見ながら一緒に学校の準備をし、やり方を教えていたのですが、3年生になって見守り側になった途端、忘れ物も増えランドセルの中はカオスです。

学校から配布されるあらゆるプリントは蛇腹状になり、ランドセルの底に追いやられ、家や学校に毎日何か忘れていました。挙げ句、忘れ物キングというありがたくない称号までもらってくる始末です。

画像はイメージです。

そして恐れていた友達関係のトラブルが起きるようになったのが4年生です。苗字をもじったあだ名にネガティブな反応をした息子が泣きながら帰宅、それ以降似たことが続き、スクールカウンセラーに話をしても埒があかないので、発達障害専門の児童精神科に育児観察日誌と本人を連れて駆け込み、育児生育歴を聞き取り、CBCL、WISC Ⅳ、数度にわたる行動観察などから、ASD、ADHDの発達障害重複と確定診断が下りました。

この時ほどホッとしたことはありません。

ほとんどの保護者は、最初「子供に発達の偏りがある、障害があるかもしれない、障害児です」という現実を受け入れるどころか受け止めることすら出来ず、気持ちが荒れることがほとんどだそうです。長く違和感を抱えてきた私にはまるで天の声で、点と点だったあらゆる違和感が線で繋がり、心から安心しました。

もとより、発達“障害”はバランスの問題で

“個々の違い”

という認識を持っていたことも大きいかもしれません。

苦手がわかれば対策が取れる、私が子供をしっかり理解すれば二次障害を防ぎ適切な対応ができる、私で足りない知識や経験は今から勉強すればいい、あとは専門機関の助けを借りよう、そう考え、周辺支援や環境整備など何もわからないゼロから児童相談所や教育相談所、自治体の支援課や保健所と連携を取り始めました。

成績は良く、他害行動や癇癪がまったくない息子は通常クラスに在籍、情緒級への通級が適切ではないかと考え、主治医の診断書に意見書と心理所見まで添えて学校側と話をすることにしたのですが、これがまた長い苦難の幕開けとなりました。

専門医による十分な資料が揃っているにも関わらず、当時の校長が「お母さん、男の子なんてみんなそんなもんです。そんな子供たちも無事に卒業して、ちゃんと中学校へ行けてるんだから大丈夫!小さいことは気にしない、気にしない!え?心理所見?検査データ?いやぁ、わからないなぁ、専門家じゃないし」という、まさに無知からくる無理解のズレっズレな考えの持ち主だったことで、スムーズに行けば年に二回ある教育委員会支援判定員による学校生活観察、教育委員会での通級適不適会議に上げ、最短で通級に繋げられるはずが、まったく進まない事態に陥りました。

画像はイメージです。

早ければ早いほうが良い療育、成長著しい子供にとって1年を無駄にしないために、また冒頭にも書いた二次障害を防ぐために、児童相談所を巻き込みパイプとなってもらい、何度も何度も校長面談を重ね交渉にあたり、時には激しいやり取りもおこなわれました。

通級するには保護者側からの通級希望申し出→校長承認の後、校長が教育委員会との窓口になり教育委員会から判定員来校し、判定会議に上げられ、適不適が判定されます。

年二回しかない判定会議なので、なかなか長い道のりです。実際、ようやく校内情緒級に通級できるようになったのは、子供が6年生になってから(校長が定年退職し後任の校長に変わってからで、それがなければ小学生のうちに情緒級には通級できなかったかもしれません)。既に5年生からは登校渋りが出始め、不登校に移行するのは時間の問題と思われました。その時は相談のため私が毎日学校に“登校”している状態でした。

当時の通級担任は長い経験があり、今までの困り感や生きづらさに悩む子供と、それを一人で支える私への理解が早かったことと、常時校内にいるため学校生活で起こるツラさや困り感があると、すぐに子供ともども対応してもらえたので、学業不振にも完全不登校にもならず、無事に卒業にこぎ着けました。

進学した中学校には情緒級がないため、今は近隣の他校にある情緒級に通級しながら普通級在籍です(中学校すべてに情緒級があるわけではない)。少しでも多い療育の機会を、と各関係機関にも密に関わってもらい表面化する課題に対応しながらSST(ソーシャルスキル・トレーニング)に取り組んでいます。

現在、県立、都立高校への支援級設置の積極的な動きがあるので、子供が高校生になる頃には公立高校すべてとまでいかないにしろ、今より支援級が設置されていると思います。

次回【2】では、複雑に表れる発達障害重複について、家庭生活、学校生活でどのようなことが、何が原因で起こっているのかをお話したいと思います。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

感情は感染する?

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

今回は他者にさまざまな感情が伝わり、影響を及ぼす

【情動感染】

についてお話しようと思います。

『感染』と聞くと、まるでウイルスや細菌のようですが、風邪以上に感染力が高いのが“感情”です。

ポジティブな感情も感染するのですが、ネガティブな感情、不安やストレスより怒りの感情のほうが感染しやすく広がりやすい特徴があります。怒りのエネルギーがどんな感情よりも強いことがわかります。

情動感染にはミラーニューロンが関係しています。以前ミラーリング効果の話が出ましたね。ミラーニューロンとは神経細胞で、それによって私たちは他者の感情に共感したり理解します。ほとんどの人が『アクビがうつる』という経験をしたことがあるのではないでしょうか。これもミラーニューロンの働きです。

ニューロンイメージ

激疲れの人がいると、自分の脳のミラーニューロンもその疲れを感知します。良くも悪くも優秀なミラー(鏡)ですよね。

イライラしている人の側にいると何だか落ち着かなくなったり、嫌な気分になったりしませんか?これもミラーニューロンの仕業です。怒りという感情が伝播しやすいということはSNSをやっている人はよくわかると思います。

これは社会生活にも大きく影響してきます。

常にイライラしている人の側にいるとイライラしてくるもので、上司がそうだとしたら、社内が張りつめてピリピリした空気になりませんか?おおらかで温和な人に囲まれていると、和やかで空気の流れも穏やかに感じ、居心地の良い空間になるはずです。

人は目に見えない感情に、いとも簡単に感染し影響を受け、生活の質や仕事のパフォーマンスにまで大きく関係してくるものだとおわかりいただけたと思います。

自分には関係ないことでイライラされ、無意識とはいえ間接的にでも八つ当たりなんてされた日には、イライラMAXになるのは当たり前です。

イライラモヤモヤを瞬時解消が一番良いのですが、

頭でわかっていても気持ちがついてこない

それが人間ですし、そんな器用なことは私にもできません。ただ心掛けていることはあります。

その日のイライラ その日のうちに

行き場のない感情は紙にひたすら書き出し、整理しにくい思考はマインドマップ(プサンのマインドマップ情報から引用)で視覚化します。

ここでポイントですが、マインドマップは何度も見返すものですが、怒りや強い感情に任せて書き殴ったいわば“毒気にあてられた物質”の紙は、グッシャグシャにして破り捨てましょう。なので、できれば記録として残ってしまう(消せばいいのですが、グッシャグシャに破り捨てるという行為も意味があるので)スマホやパソコンに毒を吐くのではなく、アナログですが【紙とペン】をオススメします。

嫌なことがあったら紙に書いて破り捨てる、これを習慣にするだけでずいぶん気持ちがラクになるので、ぜひやってみてください。

できれば穏やかで優しい時間をまとっていたいですよね、自分に関わる大切な人たちと自分自身のために。

<運営会社:Jiyuuku Inc.

同調圧力とKY、思考

新年明けまして、おめでとうございます。

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

本年よりコラムの掲載は毎月5の倍数日

5・10・15・20・25・30日

を基本に掲載していく予定です。

本年もお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。

2020年 子年

2020年最初のコラムは、日本人なら誰もが一度は経験したことのある同調圧力とKYについて書こうと思います。

同調とは他者に“調子を合わせる(本意、不本意に関係なく)”であり、【同調圧力】や【同調行動】は環境や関係、感情によって生まれます。似ているように思われがちですが、

同調】と【協調】はまったく違うもの

です。

同調が他者に(自分の考えや意見を飲み込む、または自分の考えや意思を持たず、無意識的、意識的に関わらず)調子を合わせることに対し、協調は他者と考えや意見、また立場が違っても“互いに”譲り合ったり、擦り合わせをし協力することを言います。

深く考えずに適当に「そうそう、そうだよね〜、あるあるー!」と言っているそこのアナタ、それは共感や協調ではなく、ただの同調です。

協調は互いに助け合い、協力し合うことで調和を目指す前向きなものなのですが、同調はその裏側に不安や恐怖、忖度に面倒くささもあったりするので、“見せかけの調和”と言えるのかもしれませんね。

人は自分と同じ行動(考えや意見)をする人に対し、親近感を持ち安心感を覚えます。これは同調効果と呼ばれます。似た行動にミラーリング効果がありますが、これをわざとらしくない程度に意図的に行動に織り込むことで、相手との心的距離を縮める効果があります。

話を戻しますが、日本は古くから単一民族であったため海外ほど“互いに違う文化や考え方を尊重し合い、認め合っていく”機会に恵まれてきませんでした。

まだまだ絵に描いた餅でしかないダイバーシティという考え方ですが、真の意味でなかなか浸透しない背景には“皆同じ行動”や“多数派が正しいかも?”という考え方が、集団としての“まとまり”として良しとされてきたこと、何より幼少期から飛び出す個性より足並みを揃えること、協調性を求められながら育てられることで、集団の中で浮かないことや長いものに巻かれることが生きやすいことと学んでいます。学校教育がその典型でしょう。

こと日本社会においては一概に間違いとは言えないと思いますが、“他者(の評価、考えや思考)”を“気にし過ぎるあまり、自分を上手く主張できない”ため、海外では“自己主張できない、自分の意見を言えない、ノーと言えない日本人”と映ることも多いようです。

日本では多数派の意見に異論を唱えると「それはオカシイ」という空気になり(もちろんオカシイ時は少数多数関係なくオカシイのですが)、挙げ句「空気が読めない」と思われ、略して【KY】という新語が生まれたほどです(笑)

人間関係において軋轢を生まないコツは、アサーションなどコミュニケーションスキルを身につけておくことはもちろんのこと、

事と次第によっては同感するし共感もするけれど、自分の意思があるので異論があれば同調はしない。でも、他者の意見や考えは尊重し、擦り合わせが必要な場面では互いに歩み寄ることで、なるべく納得のいく着地点を探る努力は惜しまない

といったところでしょうか。

実際問題、立場が違う人間と意見交換をしたり、人が集まり意見を出し合う場面では多少なり同調効果は表れるので、そこにゆる〜い同調圧力は働くものです。

同調は自分の考えや意見を表明しなくてもいいので、一見とても楽チンに思えます。しかしそれは恐ろしいことに

自分に問う、思考する、を麻痺させていく

側面も持っています。長いものに巻かれることは、ラクで間違いないこともあるので、処世術の一つと考えるとあながち間違いとも言えないかもしれません。ただそれが行き過ぎると、今の官僚組織のように忖度、KYばかりが常態化して本来の役割や目的を忘れてしまいます。

しかし、近年“思考する”ことができない(わからない、不得手)人が増えてきていると感じる背景には、“ラクだから(嫌われたくないから)同調しておく”もあるように思えてなりません。

フランスの哲学者であり、また数学者でもあったブレーズ・パスカルは『人は考える葦である』と表現しました。「葦はか弱いものである。だが、人間は宇宙より偉大だ。なぜならば考えることができるからだ」と。

【考える】は、とても面倒なプロセスで、考えても考えても、頭から湯気が出そうになるほど考えても解がないことは多くあります。解を求めたがるのは人間のサガかもしれませんが、

解を求めることが目的ではなく【思考すること】こそが目的

と言い表すとわかりやすいでしょうか。

人間が考える葦ならば、思考しなくなった人間はただの葦ということになります。

考えても解がないから無駄だ、とは思わないでください。解がないこともまた解なのですから。

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発達障害【ADHD】の困り感〜大人編〜

⚠︎:発達障害は先天的な脳の発達の偏りなので、親の躾や環境、また、本人のせいでもありません。発達障害をややこしくしているのは、無理解、無知からくる不適切な対応などでさまざまな神経症や精神疾患を併発したことによる二次障害といえます。

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

子供編に続きADHDを持つ人が成長し、大人になった時に、どのような困り感が表れやすいのか“生活”と“仕事”から見ていきます。

【多動性】【不注意】【衝動性】のうち、行動としての多動は貧乏揺すり程度に落ち着く人が多いのですが、個人差はあるものの、不注意、衝動性は残ります。

行動面の多動性は落ち着いても、頭の中にいろいろな考えが次々に浮かび、忙しなく落ち着かないという、脳内の多動や散らかりは残る人が多いようです。

【生活面での困り感】

  • うっかりが多い。
  • ゴミを出せない。
  • 公共料金を払い忘れる。
  • 忘れ物が多く、すぐに物を失くす。
  • 段取りが悪く、部屋が片付かない。
  • 約束の時間を忘れたり、しょっちゅう遅刻してトラブルになる。
  • 人の話を聞かない。
  • 人の話を遮って話をしてしまう。
  • 待つことが苦手でイライライしやすい。
  • 衝動買いが止められない。
  • 欲求が我慢できないのでいろいろな依存症に陥りやすい(実際、ギャンブル依存症やインターネット・ゲーム依存はとても多い)。
  • 目先の興味関心がコロコロ変わり、どれも長続きしない。
画像はイメージです。

【仕事面での困り感】

  • 提出書類が間に合わない。
  • 遅刻が多い。
  • 忘れ物が多く、重要な物を忘れたり失くしたりする。
  • 仕事に集中できず、指示を聞き漏らす。
  • ミスが多い。
  • ぼんやりする。
  • いくつもの指示だと忘れる。
  • 机やロッカーが片付けられない。
  • 電話を受けながらメモが取れない。
  • アポイントなどを忘れる。
  • 最後まで話を聞かず、取り掛かりミスをする。
  • メモを取っても忘れる。メモを取ったことすらも忘れる。
  • 焦ると余計にミスが増える。
  • 勝手にやり方を変える。
  • 思ったことをすぐに口に出す。
  • 誤字脱字が多い。
  • 仕事の優先順位がつけられない。
  • 単純作業に集中が続かない。
  • 計画を立てて仕事ができない。
  • 報告・連絡・相談ができない。
  • アドバイスなのか指示なのかがわからない。
  • 時間の使い方がわからない。
画像はイメージです。

子供の頃とは違い、シングルタスクや独特の時間感覚で困り感が増えてきます。

まずは自分の苦手(不得手)はどこなのかを知ることからがスタートです。知ることでできる対策も多くあります。

ADHD当事者ができる対策、職場ができる対策は後日改めて書きたいと思います。

2019年のコラムはこれで終わります。今年の夏から書き始めたコラムですが、ご愛読いただきましてありがとうございました。

来年は1月10日金曜日から毎月5の倍数日にコラムを掲載していきますので、引き続きご愛読のほどよろしくお願いいたします。それでは良いお年を。

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発達障害【ADHD】の困り感〜子供編〜

⚠︎:発達障害は先天的な脳の発達の偏りなので、親の躾や環境、また、本人のせいでもありません。発達障害をややこしくしているのは、無理解、無知からくる不適切な対応などでさまざまな神経症や精神疾患を併発したことによる二次障害といえます。

メンタル・イデア・ラボの本城ハルです。

何度かシリーズでもお話している【発達障害】ですが、今回はADHDについて、主に学校生活で表れる困り感についてお話したいと思います。

足が不自由で引き摺りがある、目が見えないから白杖を持つ、などいわゆる目で見てわかる肢体不自由の人に比べ、パッと見てすぐにわからないのが発達障害です。

それゆえ、多動で立ち歩きがあり教室から脱走する、片付けられない、癇癪を起こすなどわかりやすい行動が表れていなければ、本人はもちろん、保護者や学校側もわかりづらいことが多く、中には強引に「何がなんでも全部個性」と言い張る保護者もいます。脳の偏りもまた個性と言えなくもないのでそれはいいのですが、いずれ本人が困り感を自覚した時に苦しむのは子供自身です。

まず以前コラムにも書いたことをおさらいします。ADHDの主な特徴は、

【多動性】【不注意】【衝動性】

の3つです。

●多動性:落ち着きがなく、じっとしていることができない。

●不注意:自分の興味関心がない物事に集中できず、忘れやすい。

●衝動性:唐突に思いつきの行動をとる、順番待ちが苦手。

などですが、これらの特徴とその程度は個人差が大きく、環境や関わりを持つ相手によっても差が見られるので、家庭と学校では様子が異なることもあります。

また、ADHD、ASDに共通する特性や行動もあるので、次に示す行動があるからといってADHDとは限りませんし、ADHDとASDを重複しているケースも多いことを先にお断りしておきます。

ADHDの行動には“気付かれやすい行動”と“気付かれにくい行動”があります。

<気付かれやすい行動>
【多動性】【衝動性】からくる行動で、友人関係のトラブルが中心、周囲を巻き込み大きな問題へ発展することがあるので気付かれやすい。

<気付かれにくい行動>
【不注意】からくる行動で、忘れ物が多く成績不振など、本人や保護者だけが困ることが多く、周囲に迷惑をかけることが比較的少ないため見過ごされやすい。

この、<気付かれやすい行動><気付かれにくい行動>が学校生活でどのような形で見受けられるのかを具体的に見てみましょう。

=気付かれやすいADHDの行動=

【多動性による行動例】

  • 席にじっと座っていられず、常にそわそわしている。
  • おしゃべりが止められない。
  • 意味もなく手足を動かす。
  • 静かにしていなければいけない場面で走り回ったり騒ぐ。
  • 集団行動ができない。

【衝動性による行動例】

  • 感情のコントロールができない。
  • 順番を持てず列に割り込む。
  • 些細なことで大声を出したり暴れる。
  • 勝手に話を始めたり、他の子への質問に答えてしまう。
  • 他の子の邪魔をしたり、ちょっかいを出してケンカになる。
  • 他の子の持ち物に勝手に触ったり、持って行ってしまいトラブルになる。

=気付かれにくいADHDの行動=

【不注意からくる行動例】

  • 学習用具などを机から落としやすい。
  • 興味関心が低いことは忘れてしまう。
  • 忘れ物が多い。
  • 字が汚い。
  • 机の中やランドセル、身の回りの整理整頓ができない。
  • 他の子より、よく怪我をする。
  • 教科により集中できない。
  • 文章を飛ばして読んだり、自分の思い込みで読む。
  • 指示の聞き漏らしがあるので行動が遅れる。
  • 好きな教科と嫌いな教科で意欲の差が激しい。
  • 課題や活動を順序立てておこなうことが困難。
  • テストで似た問題でも点数のバラつきが激しい。
  • 友達との約束を忘れたり約束が重複してしまう。
  • 話しかけても上の空に見える。

【その他の行動例】

  • 姿勢が崩れやすい。
  • 一人で遊んでいることが多い。
  • 友達に避けられている。
  • 日中眠そうにしている。
  • 後回しにするクセ(先送りグセ)がある。
  • 手先が極端に不器用。
  • 気持ちの切り替えがうまくいかない。
  • 知的な遅れはないのに成績が悪い。
  • 好きなことには時間をかけて取り組める。
  • 複雑な運動が苦手で、鉄棒や縄跳び、跳び箱などの上達に時間がかかる。

などがあります。

それでは不注意優勢(気付かれにくいADHDの行動)の場合、子供の学校生活ではさまざまな困り感がどのような場面で、どのように起こるのかを一日の時系列で具体的に見ていきます。

登校時:目にするいろいろなものに意識がいくため、集団の列から外れやすい、周りに注意を払わず歩くため、自転車や人と接触しがち、転びやすい。

朝会:遅刻が多い、眠そう、先生が来る前に他の子とトラブルを起こしている。

授業中:よく物を落とす、教科書や必要なものを頻繁に忘れる。座姿勢が悪い、関係ないおしゃべりが止められず注意される、指示を聞き漏らし行動が遅れ、周りの様子を見てから行動する、単純な計算は得意だがケアレスミスが多い、文章を読んで解く教科は苦手、板書に時間がかかる。

給食:おしゃべりが止められないかボーッとしていて時間内に食べ終わらない。

休み時間:休み時間が終わっても教室にいない、次の授業の準備ができていない。

体育や図工など身体を動かしたり作業する授業:説明を聞いていないため、怪我や失敗が度々起こる、計画を立てて作業ができないため最後まで終わらない、好きなことには集中して取り組むので時間がきても止められない。

掃除:掃除道具を振り回してふざけたり、いろんな場面で雑なので物を壊したりする。

友人関係:他者の話をよく聞いていないため、思いつきで関係ない話をしたり行動する、集団行動ができず孤立しがち、約束を忘れてトラブルになる。

不注意だけでも学校生活がかなり大変そうに見えます。3つの特徴(多動性・不注意・衝動性)をそれぞれの割合で併せ持っているケースがほとんどなので、年齢に沿って至るところでさまざまな困り感が表れてきます。また、行動の多動性は大人になると薄くなる傾向にありますが、行動に表れない見えない脳内での多動は残る人も多いようです。

本人に悪気はなく、気をつけよう、頑張ろうと思ってもできないことがあるのが“障害”で、他者との違いに気付き比較する年齢になった時に、困り感や生きづらさを本人が感じるようになります。

ちなみに、中学1年の息子が確定診断を受けたのは小学4年ですが、それまでは私の違和感や困り感はあっても本人の困り感はあまりなかったようで、息子本人が『何かいろいろうまくいかない』と気付いたのは小学5年、そこからさまざまな場面で学校生活に生きづらさを感じることが多くなったそうです。

このさまざまな場面に表れる行動特性は、人により表れ方も濃さも違い、また、視覚認知に問題を抱えるケースもあるため、対策の取り方も少しずつ変わってきます。

息子を例にとると、書字の苦手さや字のバランスの悪さは、不注意と同時に視知覚認知機能の“目と手の協応”と、眼球運動が大きく関わっており、わかりやすい不注意部分だけの対策を取っても、本人の困り感解決にあまり有効的ではありませんでした。

視知覚認知や眼球運動に問題があると、学習効果が思ったように表れず成績が振るわない・・・ということが起こります。視知覚認知や眼球運動とはどのようなもので、それにより何がわかるのかなどは、視覚認知でお話ししたいと思います。

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